特撮コラム仮面ライダークウガ その③

さて今日は敵に焦点を当ててみますよ。
未確認生命体と言われている彼らグロンギ族は、超古代文明においてのある一つの種族に過ぎないのですが、戦闘種族の極めて残忍ケースであると断言せざるおえません。彼らはゲームと称して自らの能力を用いて、狩るように人間の命を摘み取っていきます。

彼らの種族内には上下関係と言う概念は存在しませんが、位は厳然として有り、戒律も定められています。
大きく分けて3ランクに分類され、ある程度の条件を満たすとランクアップのチャンスがあります。それぞれの名前の前にその階級が名づけてあります。例えば、

ズ階級のズ・ザイン・ダー(サイ種怪人)
メ階級のメ・ガルメ・レ(カメレオン種怪人)
ゴ階級のゴ・ガドル・バ(カブトムシ種怪人)

の様に表されます。前回の二人の怪人はこの一番下のランク、ズ階級です。
戒律があるとは書きましたが、厳密に言えば戒律というよりルールと言った方がいいでしょう。ゲームのルール、それは様々な条件をつけていかに多くの命を奪ったかと言う事と、そのゲームを行っている間は仲間の手を借りず(と言うか仲間と言う概念が無い)にゲームプレイヤー本人が一人で殺人を行わなければならないと言う事です。このルールのおかげで、クウガは多対一の不利な条件で闘う事が殆ど無かったと言えます。
前回の二体はどちらかと言えばルール違反を犯した者達で、蜘蛛種怪人はクウガに倒され、蝙蝠種怪人はその後ゲームへの参加(人を殺す事)を禁じられる事になりました。以後、蝙蝠君はずっとパシリとして扱われる可哀想な立場になってしまったのです(笑)
ズ階級からメ階級へ上がるのはそれほど大した条件は無かったのかも知れません。詳細は不明ですが、唯一劇中で昇格したメ・ガルメ・レ(カメレオン種怪人)は透明になれる能力を用いてクウガを避けるようにして殺人を行ったようです。因みに劇中のタイムスケジュール上で昇格したので、ズ・ガルメ・レとしては映像に出ることもありませんでした。
更にメ・ガルメ・レはゴ階級昇格を目指します。昇格の条件は厳しくなります。ズ階級時の人数の数倍の人数を殺し、更に時間も短縮されます。彼は自身を試す為に他の条件も自分で加えるのでした。殺人予告がそれです。
殺人をし、その場にいた人間に透明な状態で、
「次は〜〜で殺します」
のように流暢な日本語で殺人予告をしたのです。次の予告現場では警察が大挙して来るにも関わらず、です。それだけ危険を冒さなければゴ階級には上がれない、と彼らのプライドがさせるのです。


そういえば、彼らはグロンギ語という独自の言語で仲間同士会話するのですが、メ階級にもなると随分流暢な日本語を喋りました。ゴ階級に至っては外国の言語やパソコンも自由に使いこなすなど、驚異的な理解力を有するものが多々いました。人間存在の不条理さを説くアルベール・カミュの全集を短時間で読むフクロウ種怪人が印象的。しかし、ズ階級は番組後半でも片言の言語でした。
階級が上がる毎に戦闘能力が付加される者も出てきました。ゴ階級の者はフォームチェンジ(俊敏体から剛力体等へ)能力を有する者まで出現し、武器を小型化し巧みに使い分ける未確認生命体もいたのです。
これは彼らが進化する余力をその身体の中に眠らせているのではないかと推測されます。まあ、劇中ではレベルアップしている描写はありませんから、詳細は不明ですが。劇中でよく目にする正体不明のバラのタトゥの女から何かされるのでは。ゲーム開始時は彼女の角のついた指輪で腹部の装飾品にスイッチを入れるような描写がありましたから、その関連でレベルアップできるのでしょう。
戦闘能力の付加や言語能力、理解力、これらの能力は人間では長時間に渡って修得されるべき物ですが、彼らは階級が上がる毎に原始人から現代人へと、まさに短時間で進化してきたのです。これはある意味、古代人でありながら進化した新人類なのではないかと考えるしかないのです。
しかし、彼ら新人類にも天敵がいました。クウガの存在がそれです。
考え様によっては、未確認生命体が殺人ゲームを行う(楽しむ)過程で、クウガの存在は不可欠なのではないでしょうか。古代人で平和な民族、リント族は現代人よりも平和を好み、争いは全く苦手な種族でした。そんな種族の彼らがグロンギ族に対して無力だったのは言うまでもありません。実際、現代人ですら彼らに対して(番組後半までは)無力だったのですから。
障害が無ければ階級を上がる資格はない。彼らがそう考えたのなら(クウガがいなければ)それはゲームではなくただの狩りになってしまいます。ただの虐殺パーティになってしまうのです。
まぁ結論はまだまだ先にしましょう。では今日はここまで。
明日はクウガの能力論をやりますので皆さん、予習してくださいね(笑)
ではまた〜。