絶対みんな一緒に生き残るんや!BM[ネクタール]

ちゅみみ〜ん♪いっただきまーす

エー今日は何か天啓が頭にバキューンと来たんでマイナー名作漫画シリーズ第二弾(シリーズの名前が変わってるってことはナイショよ♪)の藤澤勇希作、BM[ネクタール]です。チャンピオンコミックスで全十二巻。2000年から2002年まで連載してた漫画ですよ。知ってます?知らないよね。うーんマイナーなのに12巻も出てるのがすごい。でもマイナー。何故マイナーか?やはり秋田書店ってのがネックですね。ではまずBMとは何かから言ってみよう!の、前に一度やってみたいことを(笑)

BMの58%は水分で出来ています。
BMの30%は人肉で出来ています。
BMの7%は歯で出来ています。
BMの4%は触手で出来ています。
BMの1%は本能で出来ています。

時は近未来、今現在とほぼ同等の文明レベルで、ある人間が食料危機を打破する画期的な発明をした。BM・・・バイオミートの略であり、人造生体食糧のこと。牛や豚の肉の味に加工する事が出来、人類の新たな食糧源になるかと思われた。その生命体はほんの微塵の知能しか持たないが、その本能とは食べることだった。かすかな音に反応し餌と思われるものはガラスと金属の物以外ほとんど食い尽くす。そして、食物を食ったBMは爆発的な細胞分裂を起こし、本体と同等の大きさのBMを何匹も生む・・・
当初はある実験都市だけにBM養殖場が設置され、格安の肉としてスーパー等に搬送された。加工したBMは全く無害。そしてゴミ処理場に隣接するようにBMの養殖場が設置された。基本的にガラスや金属、コンクリート以外は何でも食べるのでゴミ処理と同時にそのままリサイクルし食料を生むのだ。究極の永久循環システムかと思われたが、唯一つの欠点があるとしたら、BMが管理外に出ること。正にネズミ算的に増えていく上にその増殖の歯止めになるものが存在しない。野に放てばその大地は土以外何も残らない、ある意味制御が不可能な人工生命体なのだ。
そんな時、実験都市付近に直下型の大地震が一時的に起きる。地震はすぐに治まったが、隔壁の外へ出てしまったBMは町へ・・・パニックが起きる中、BMの習性を見定め必死に生き残ろうとする四人の少年少女達。廃墟と化していく都市で彼らは生き延びる事が出来るか!?

と、まあそんな感じのストーリー。全12巻は伊達じゃなく、三部構成になっています。小学生編、中学生編、そして最終章、日本中がBMに埋め尽くされて何とか生き延びている青年期編。こんな救いようのない物語で大丈夫かと思うでしょうが、最終回はちゃんと終わってます。打ち切りじゃありません(笑)
2000年というとチャンピオンは未だ萌えとか関係なしな時代だったと思います。どちらかと言えば燃え。覚悟のススメとかグラップラー何とか、とか中々燃える漫画が多々あった時代です。今現在のチャンピオンはPTAに睨まれない程度にお色気漫画がたっぷりですが(笑)
で、この作品の作者は相当のホラー好きなようで。何というか、主人公達以外の人間がBMに捕われ補食されていく様は正にホラー映画のそれ。自分達を狙うのはBMだけじゃなく、機密(BMが制御できないものだという事)の暴露を恐れる権力者達が様々な手で陥れようとする。そんな中、主人公達は最初はうろたえたりやけになったりしますが、段々状況に慣れていき、絶対皆で一緒に生き残ると心の中で誓い合う、唯一無二の親友同士になっていくのです。この漫画では皆が戦う者です。BMを倒すとかじゃなくて、生き残る戦いを必死で行う者達。劇中内では米軍の特殊部隊の隊長ですら彼らを戦士として認める(中学生編)程です。BMは無敵に見えますが単一の時にはそれほど脅威ではありません。太陽光の下では干からびて仮死状態になるし、炎にも弱い。マイナス80度の気温ならその細胞を完全に死滅させる事が出来ます。泳げないので、海に沈めて窒息死を狙うのもあり。少年少女はその特性を利用し、ある時はスプレーとライターで即席火炎放射器液体窒素ボンベで凍らしたり、ダムを放流させて海へ押し流したりと生き残るために様々な工夫をこらし、危険を克服していく。極限の状態で生きると言う事がどれだけ難しいか、そして必死に生き残ろうと努力する者達がどれだけ逞しいかということを見せ付ける漫画であると思いました。でも話と話の空いたページでBM死亡リストとか言って人々の死に様をファイル化するのはやーめーてー(笑)
この連載の後、作者の藤澤氏は「UKキングダム」という小学館の名作「スプリガン」の対抗馬としてトレジャーハンター物を連載しますが4巻でストップ。現在は劇団等で活躍しているらしいです。
少年誌の対抗馬ってやだなあ。「鋼の錬金術師」と「武装錬金」の関係に似てますね。この作品の作者さんも自分のポリシー貫いてたらもう少し有名になっていたと思うんですが。でも「武装錬金」は面白いと思うよ。ちゃんとスペシャルで完結させてるし。和月先生の漫画はいいなあ。出来ればもう集英社で描かないでもっと別の、自由に描かせてくれる所に行って欲しいものです。メディアワークスとかワニブックスとかさ(笑)そういうわけで、漫画の作者様方、勤める場所は選びましょう!
あ、言い忘れてた。このタイトルのネクタールというのは神の酒の事。不老長寿の妙薬、基本的に飲み物のことなんだが、BMをネクタール、神の食物として皮肉っているのですかね。劇中どころか注釈にすらそんなこと書いてはいませんが多分そういうことでしょう。兵器としても、食糧としても扱う事のできない、人間が触れるには過ぎた物という意味であると思います。

BM[ネクタール]は面白いぞ!漫画喫茶にあったら一気に読破だ!