第1話 孤独の追跡者(脚本:酒井あきよし/作画監督:田中保)
銀河の外れにある高度な文明を有した惑星、S−1星。しかし高度故か、その地表は全て放射能で汚染され惑星の住人は地下での居住を強いられてきた。S−1星の人類、彼らは地球人類と何ら変わることの無い姿形を持っている。その知性すら同じ物であった。
S−1星暦250年となった今、地下で暮らす彼らにも限界が来ようとしていた。人口の増加、食糧問題、地下居住区への放射能侵食、更に政府に対しての暴動。政府を司るS−1星中央管理局の代表者会議では真っ二つに意見が分かれていた。科学者陣を代表するレイガン博士は星の再生を目指し放射能濾過循環装置の開発を推している。対して軍部総司令ゼオ・ガットラーは遥か二万光年離れた惑星に移民し、先住民がいれば占領してでもS−1星人類を移住させようとしていた。星の再生か、移民か、S−1星皇帝トリノミアス三世は決断を迫られていた。S−1星の寿命は既に尽きかけている。もって後二年。皇帝は未だ完成に至っていない放射能濾過装置を5日以内に実現させよとレイガンに命じる。それが実現されなければガットラーの案を受け入れると言う事で会議は閉会された。
議会中、父を迎えに来たマリン・レイガンはガットラー親衛隊のミランに難癖を付けられていた。軍部からしてみれば科学者達は機械いじりをしている役立たず、そう言って殴られたマリンは戦争ごっこしている連中に何が分かると反論する。銃を持ち出し威圧するミランを諌めたのは美しき女親衛隊長、ミランの実の姉アフロディアであった。会議が閉会し、マリンは父の元に駆け寄る。ふと足元を見たアフロディアは殴られた際に落としたマリンの認識票を拾い怪しい笑みを浮かべるのだった。
5日と言う期限を命じられたレイガン博士だったが、ガットラーは今すぐにでもS−1星を離れたい気分であった。しかし、科学者達の開発が成功すれば自分達の存在意義が無くなる。レイガン・ガットラー共に焦りを感じていた。その均衡を破ろうとするのはアフロディアだった。マリンの認識票を取り出し皇帝の暗殺計画をガットラーに進言する。軍部の暴走は今ここに始まるのだった。
マリンとレイガン博士達は寝ずの開発で疲弊していたが、ようやく放射能除去の第一歩が進む。実験が一段落したマリンは科学研究所近くの浜辺に一人で赤茶けた大地、黒い海を見ていた。この大地が青い空、透き通った海へと変わる。自分がまだ生れてもいない時代の美しい自然に思いを馳せていた。そこへ突如爆発音が響き渡る。自分の家である科学研究所が軍に襲撃された。急行するマリン。
親衛隊士官ミランは科学研究所を悉く破壊していた。研究員は全て射殺し施設は全て破壊と言う彼の蛮行を止まる所を知らない。ミランが中央の放射能濾過装置へと歩を進めるとレイガン博士とその研究員が身を挺して装置を庇っていた。こんな蛮行を皇帝が見逃すはずが無い、とレイガンは言うが既に皇帝はアフロディアに射殺されていた。その近くに投げ捨てられたマリンの認識票から、科学者陣に皇帝暗殺の濡れ衣を着せようとしているのだ。そこへ急行したマリンはミランを当て身で止める。間一髪で父は助けられたが、気絶していないミランが研究員を射殺する。爆発の影響でひしゃげられた鉄骨から鉄片を取り出しミラン目掛けて投げつけるマリン。首筋に刺さった鉄片はミランを絶命させる。皇帝暗殺から研究所に向かったアフロディアは弟の死を目の当たりにする。マリンを激しく睨みつけるアフロディア。銃を手にしようとしたその時、研究所の限界が訪れる。兵士達を伴い脱出するアフロディア。
残骸で下敷きになった博士を何とか助けたマリンは、瀕死の父を抱えて地下へと向かう。そこには既に完成していた亜空間戦闘機パルサバーンがある。それを使って脱出を試みようとしたその時、生き残っていた兵士がレイガン博士を射抜く。格納庫一歩手前で撃たれた博士は最後の力を振り絞りマリンを格納庫内へ突き飛ばした。マリンの心残りを全て無にするつもりで隔壁を閉めると、ガットラーの野望を止めろと命ずるのだった。
「もう一度…もう一度青い空が見たかったなぁ……マリン」
父の死を隔壁越しに聞くマリンはパルサバーンを前にして慟哭するのだった。
亜空間戦闘機パルサバーン。全長50m、総重量400t。マッハ20で空を飛び、無限に亜空間を駆け回る。簡易スペースクルーザーとしては巨大過ぎる威容を持つ機体、しかしそれは最新鋭の科学技術の結晶と言えた。マリンの目に怒りの炎が燃え上がる。
ガットラーは皇帝の暗殺を成功させると総統の地位を民衆の前で宣言し、かねてから計画していた移民計画を発動させる。地響きを上げて都市が浮かび上がる。飛び立つ移民船団は約数一億五千万人を収容し、亜空間要塞と呼称されS−1星を後にする。皇帝暗殺、科学研究所撃滅から帰還したアフロディアをガットラーは親衛隊隊長からアルデバロン総司令官へと昇格、忠誠を誓わせる。その時何者かが要塞に向かってきた。パルサバーンを駆るマリンだ。ガットラーの野望を未然に阻止すべく襲撃を開始したのだ。弟の仇と燃えるアフロディアは総司令官就任直後でも構わずにマリンを迎え撃つ。遥か居住可能惑星へとワープ三分前と言う状況でありながら、宇宙空間で激しい戦闘を繰り広げる二人。タイムリミットを迎えたその時、アフロディア・マリンを巻き込んで亜空間要塞は空間跳躍を行った。
空間跳躍は指定の居住可能惑星には行かなかった。ワープ途中、次元嵐と呼ばれる予定外の現象に一団は包まれたのだ。そしてマリンが降り立った場所は西暦2100年を迎える太陽系地球の衛星、月の月面であった。意識を失っていたマリンに近づく一艇の宇宙船。ブルーフィクサーと呼ばれる組織と、異星人マリンとの邂逅であった。

☆エクシ感想……記念すべき「宇宙戦士バルディオス」の冒頭。でも主題となるバルディオスは暫く出てこないと言う状況だったりします。一応、悪役として設定されているガットラーですが、クーデター発案者であるアフロディアが一番悪い奴だったりして(笑)なんちゅうヒロインやねんと。マリンの父親であるレイガン博士に苗字しか無い事に俺が泣いた。声優は宮内幸平さん。ダグラムで皆の親父さん、サマリン博士も熱演している方です。これ一話だけでもうリタイヤは勿体無いよなぁ。しかしこの移民計画の急ぎ様、絶対取り残されてる人いるよね、きっと。大体レイガン博士撃った兵士だって取り残されてたんだしさ(笑)因みに第一話で即行で射殺されている皇帝陛下はその妙なヘルメットや格好から、ふたば☆ちゃんねるの画像掲示板「二次元裏」でオリジナルのキャラ付けをされ陛下という通称で呼ばれ、深夜早朝頃に「もう寝なさ〜い」という言葉と共に画像が貼られたりしてます。
http://heika-love.cool.ne.jp/characters/characters.htm
やめて、もう回転しないで(爆笑)と言う感じで今日はここまで。
それではまた〜(Y_Y)ノシ