第23話 マリン、日本を救え!

アルデバロン偵察隊が世界連盟ビルに三度に渡って出現した。敵の総攻撃の予兆か。しかしクインシュタイン博士は敵の狙いはもっと別の処にあると推測する。例えて言うなら日本。そこは今までに一度も襲撃を受けておらず、大工場地帯を有する重要拠点である。そして月影の妻子がいる故郷でもあった。
そして予測は的中し、アルデバロン大編隊が日本へ向かった事を報じられるBFS。マリン達は直ちに出撃を準備するが、その行動にストップを掛けたのは他ならぬ月影だった。今は偵察だけで済んでいるが、依然として連盟本部が大部隊に襲われる危惧がある。世界連盟は主力のバルディオスを連盟本部護衛に当たらせる為、マリン達は待機を命じられる事となった。日本には世界連盟の機動部隊が派遣される事になるが、敵の数はそれを多く上回る。マリンはどうしても待機する事が出来ず、月影に日本出撃の許可を取ろうとするが断固として許さなかった。月影としても日本を、妻子を救ってもらいたい。だがBFS長官の立場がそれを許さなかったのだ。
日本が燃え、妻子が助けを求めている。しかしそれを助ける者は誰もいない。炎に焼き尽くされ、瓦礫に潰される妻子。助けの声はまるで断末魔の様に月影を貫く。そんな悪夢を私室で見る月影。全身が汗に塗れ、彼の不安と苦悩はピークに達しようとしていた。その時司令所からマリン出撃の報が届く。マリンの独断で行った出撃。直ちに戻ってくる様に通信を行う月影を止めたのはクインシュタイン達だった。クインシュタインはマリンに月影の家族や襲われている多くの人々を救って欲しいが為に出撃を勧めたのだ。月影はBFS長官として反論する。家族が襲われているのは自分だけではない。他の隊員は家族が襲われているのを黙って見ているしかないと言うのに。だが彼女は人が襲われているのを黙って見ている事こそ間違いだと諭す。更に、月影の家族がいるからこそBFSを派遣出来ないと言う苦悩を指摘される。図星を突かれた月影だが、あくまでも他の隊員の出撃は許可しなかった。
一人パルサバーンで大部隊を相手にするマリン。透明円盤の大群をその闘志で次々と撃破していく。ある程度の交戦の後、マリンは日本へと降り立ち、クインシュタインから伝えられていた月影の住所へと赴く。日本はそこ彼処で焼け野原となり、月影の住居ですら原型を留めていなかった。家族の安否を心配するマリン。連盟軍の兵士を見つけ、BFSの認識票を見せて月影の家族の事を聞く。世界連盟の上層部と違い、連盟兵士はBFSを高く評価していた。そのおかげで月影の家族は襲撃の際、連盟兵士の手によって救出されたが、息子のジローが重症を負ったという。急ぎ兵士の案内で軍病院へと向かうと、野戦病院の如き負傷者の数にマリンは驚く。
カーテンで仕切られた病室の一つに月影の妻ヒロミと息子のジローがいた。ジローは頭部に包帯を巻いていたが、意識もあり思いの他無事であった。BFS所属隊員である事を名乗り、救援に遅れた事を謝罪するマリン。
「やはり来てくださったのね、待っていました。月影が貴方を寄越したのですね?」
「え……あ、そうです! 長官の命令です。お二人の事を、心から心配されていました」
マリンは咄嗟に嘘をついた。命令違反、更に救援を寄越してはいない等、彼女の涙の前で本当の事は言えなかった。ヒロミはアルデバロンの襲撃の中、じっと月影邸で夫の救出を信じて待っていたのだ。マリンの胸中は複雑なものだった。そこへ再びアルデバロン襲撃の報が鳴る。マリンは二人の為、そしてここにいる負傷した人を守る決意を固める。出撃しようとした時、ヒロミからある物を渡される。感謝の意を込めた手編みのマフラーだった。必ず月影に届ける様に頷くマリン。
再び日本に来襲する透明円盤。クインシュタインは月影に許可されていないにも関わらず、雷太とオリバーの出撃も要請した。連盟本部の偵察でBFSを釘付けにして、日本の大工場地帯を襲う敵の作戦は最早判明したも同然である。だとすれば単独で迎撃しているマリンが危ない。現に、ガットラーは単身でいるマリンに対して巨大メカでの撃滅をアフロディアに命じていた。巨大な爪を装備した赤いメカがマリンに襲い掛かる。パルサービームを受けても全く傷つかない巨大メカ。そこへ雷太とオリバーが急行、透明円盤を撃破し、バルディオスへとチャージアップする。舞台を宇宙へと変え、激しい戦いを繰り広げる巨大メカ達。脱出不能の雷撃に包まれるも、バルディオス必殺のサンダーフラッシュが弾け飛ぶ。水素エネルギーをパルサービームに通して発射するその武器は一種のプラズマ兵器である。轟音をあげ、爆発の中からアフロディアが脱出する。彼女の復讐は、またも挫かれるのだった。
世界連盟から命令違反を追及される月影。しかし日本の大工場施設を最小限の被害で食い止めた事によりその罪は不問にされた。だが日本を守った英雄であるマリン達には月影のビンタが轟く。三人は別名あるまで部屋で謹慎を命じられる。甘んじて受けるマリン達。そしてマリンから家族の無事と共にマフラーを手渡される。月影はそれを聞いて安堵し、マリン達に感謝の言葉を述べたい処をぐっと堪える。長官としての責務を全うする為だったが、マリン達にはその目と表情だけで十分だった。展望台で妻の手編みマフラーを首に巻く。月影はその暖かさに家族の優しさをじっと感じ取るのであった。

エクシ感想……書こうと思えば四行で終わるお話。でも心情表現を描くとかなりの量になってしまう回、だったと思います。公私混同をせず、世渡りが下手な月影長官。糞正直だから敵に裏をかかれまくるのは後の話でもご覧の通り。まあ、だから馬鹿正直をフォローするクインシュタインが生きてくるのですが。
公式ではBFSの活躍が連盟兵士にも聞こえていると言うくだりはありませんが、わざわざ月影の家を救助目標にしている事からそうしました。マリン達が頑張ってなければ、月影の妻子は生きてなかったって感じで。透明円盤を華麗に撃破するパルサバーンの姿は、連盟兵士の士気高揚に繋がったと思われます。と言う感じで今日はここまで。
それではまた〜(O_O)ノシ