第25話 謎の宇宙生命体

BFSは創立10周年記念パーティを迎え、基地内はいつに無く明るい雰囲気に包まれていた。そんな中、パーティに出席する為に浴室で身なりを整えている雷太は、鏡の前に置いてあったペンダントを見る。J.Oと書かれたペンダント、それは雷太と同期のジル・オブライエンのものだった。彼女は一ヶ月前彼にペンダントを残し、金星の前線基地の任務に就いてそのまま消息不明になってしまった。敵の攻撃で全滅と報じられ生存はほぼ絶望的と言う事から、雷太は創立記念パーティを明るい気持ちで迎える気にはなれないでいた。
豪勢な食事に美味い酒。笑顔や談笑に満ちた会場内に突如、未確認飛行物体接近が報じられる。舌打ちをしてワインを飲み干したマリンは司令所へと向かい、モニターに映し出された宇宙艇を見る。それは金星前線基地に配属されたBFSの警備ロケットであった。一ヶ月前に全滅したと言われていた警備隊。そしてその機体番号は二号艇、つまりジルの乗っていたものだ。思わず身を乗り出す雷太が月影に宇宙艇の調査を嘆願する。月影の命により、随行するマリン達と共に、地球軌道上に漂流している宇宙艇に雷太は向かった。キャタレンジャーのコクピット内で彼女の最後の顔を思い浮かべる。美しく才気に溢れ音楽をこよなく愛し、実直で無骨な自分を慕ってくれたジル。そんな彼女が生きている可能性があると、雷太は少ない希望にすがりつこうとしていた。
だがそんな希望も雷太が宇宙艇に侵入すると絶望に変わる。気密は確保され、宇宙艇には何一つ空気漏れが無いにも関わらず、コクピットの隊員達は死亡していた。ジルと呼ばれたその死体は見るも無惨なミイラと化していたのだ。絶句し、驚愕した雷太がジルに触れようとした処をクインシュタインが寸前で止める。モニタリングされた状況を見て、彼女はこれが敵の罠だと判断したのだ。何かしらの汚染が彼女達を死に追いやったと。そして死体ごと警備船を宇宙空間で処分するのが最善の策だと指示するが、真っ向から雷太が反論した。仲間であり、恋人である彼女の亡骸をせめて葬ってやりたい一心での行動だ。彼女が宇宙の塵として消えていく事に雷太は耐えられなかったのだ。彼の気持ちに理解を示す月影は、船や亡骸に滅菌と浄化処置を施す事を条件に許可を出す。
BFS基地内で滅菌処理を行うビームライトをくまなく照射される宇宙艇。だがクインシュタインの不安は晴れなかった。一ヶ月余りで死体がミイラに変わる訳が無い。それに宇宙には未確認の生物や物体が多くあり、更にこの警備艇はアルデバロンに拿捕された可能性が高いからだ。
警備艇から棺に入った亡骸が降ろされ、死因を調べる為に解剖室へとエレベーターで運ばれる途上、雷太の目の前で遺体を運んでいた隊員のボブが突然苦しみだし倒れこむ。肌は干からび、一瞬にしてミイラと化して絶命した彼の口から青いゲル状の物体が姿を現した。恐れおののいたもう一人の隊員がビームガンを物体に撃つが、怯むどころか逆に襲い掛かってくる。棺の台で物体を押さえ込もうとする雷太。だがゲル状の怪物は形が無く、押さえることなど出来なかった。エレベーターから脱出し、雷太は基地内に非常事態発生の警報を告げる。
ジルの遺体に取り付いていた不定形の怪物を基地内のセンサーで解析するも、地球上や太陽系のどんな生物・鉱物にも該当する物が無く、解析不能と判断される。今の所分かっている事は生命反応がある生命体だと言うことだけだ。エレベーターの排気口から通風孔、そして配水管へと移動していく生命体。折しも、10周年記念パーティと言う事から隊員達の気は緩んでいたのかも知れない。BFS基地に敷設された休養施設のプールで、隊員のリンダがミイラとなって水面に浮かぶ。急行したマリン達が直ぐ様プールの水を抜く様指示するが、不定形の生命体は排水管から逃れてしまう。オペレーターのターナーに基地内の排水管を全て塞ぐように命令する月影。センサーで生命体の反応が隊員居住区内で発見され、まだ水道を使用している部屋がある。ジェミーの部屋だった。急ぎジェミーを呼び出すが、シャワーの音で電話のベルがかき消されてしまう。月影はジェミーの危機を救う様に雷太達に指示を出す。いち早く到着した雷太がドアを蹴破った時、生命体はシャワーのバルブまで迫っていた。全裸でシャワー室にいたジェミーは飛び込んできた雷太に勘違いし悲鳴を上げる。
「馬鹿野郎! てめえの命が危ねぇんだよ!」
強引に浴室から連れ出し、シャワーバルブを壊して躍り出た生命体をレイガンで撃つ。が、全く効果が無く出てきた水道管へと退去する。次の獲物を求め、人間の入れない場所へと潜り込み次々と犠牲者を増やしていく怪物。犠牲者の数は12人へと増え続け、BFS基地内はパニック寸前といった様相を呈していく。
亜空間要塞アルゴルでは今回の作戦をアフロディアと側近のハルが総統に説明していた。三次元では殺傷不可能な四次元生物アメーダスをBFSへ送り込み、混乱に乗じて黒海に設置されているレーダー施設を新型メカガメバリウスのイオン砲で叩く。死んだ者を弔うと言う人の情けに付け込むアフロディアの作戦は非情なる物だった。
クインシュタインもようやく怪物の正体が異次元生物だと言う事に辿り着いた。異次元と言うだけあって三次元の常識は一切通じず、攻撃すればするほど大きく凶暴化していく。しかし、エネルギーを吸収すると言う特性がある事から吸収の限界を越えさせれば倒せるかも知れない。基地のエネルギー源である核融合炉を使用する作戦が開始された。生命体の付近にエネルギーの無い状況を作り、囮の人間が核融合炉へと引き寄せる。囮は雷太が志願した。ジルを殺された仇を討ちたい一心だ。僅か数リットル分しか無かった生命体は数メートル程の大きさと化していた。雷太が怪物の傍を走り融合炉へと案内する。人間の生命エネルギーにすら反応するアメーダスは雷太を追い、融合炉の中央へと誘導され閉じ込める事に成功する。融合炉を全開にしてエネルギーを吸収させると、蒸発する様に霧散していくアメーダス。成功かと思われたが、生命体は物質変換を起こし益々凶暴さを増して犠牲者を増やしていった。そしてアメーダスは次のエネルギーを求めて亜空間エンジンを装備したパルサバーンに潜り込んだ。その時敵の襲撃をレーダーが感知。最悪のタイミングでアルデバロンが攻撃を開始してきたが、ここで怯む訳には行かない。三人はバルディオスへとチャージアップし亜空間へ突入、黒海へと急行する。
亜空間内で機関室に異変が起こる。アメーダスが亜空間エンジンの膨大なエネルギーを吸収しているのだ。亜空間航行を維持出来ず、現空間へと復帰したバルディオス黒海上空でレーダー施設を襲撃しようとしているガメバリウスとニアミスする。攻撃目標をマリン達に変え、イオン砲を撃つ戦闘隊長ハル。マリンはサンダーフラッシュで応戦するが、エネルギーの不足で満足な威力を出せず、敵の反撃で黒海へと墜落してしまう。海底で機能不全に陥るバルディオス。雷太は再び先程の作戦の応用を試みる。機関室のエネルギーを切り、囮である自分が生命体をミサイル発射管へと誘いだす。アメーダスがミサイルに巻きついた状態で緊急エネルギーを作動させ、反撃に転じるマリン達。黒海から飛び上がり、エネルギー消費の少ないパルサーベルでガメバリウスのイオン砲を次々と破壊する。決死の肉弾戦を挑んできたマリン達に戦慄するハルは、たまらず亜空間へと退避しようとする。その隙を逃さず雷太はアメーダスを巻きつかせたミサイルを発射した。三次元では殺す事が出来ないアメーダスは亜空間なら殺傷可能である。ジルの命を無慈悲に奪った生命体は、亜空間内でガメバリウス諸共ミサイルの爆発で消滅した。
ジルの墓前にたたずみ仇を討った事を報告する雷太。墓石に形見となったペンダントを掛けてやる。その眼には今までにマリン達に見せた事の無い、涙が煌いていた。

エクシ感想……三回しか無い雷太の話の更にひどい回。一回目は記念碑前、二回目は墓前でのエンディング。三回目はゴニョゴニョ(泣)三号機パイロットだからってこんなに酷い仕打ちをするスタッフは雷太に恨みでもあるんでしょうか。キャタピラ、三号機、巨漢(もしくはデブ)って言うのは不幸エンドのフラグ立ち捲りキャラなのか。ただでさえ影の薄い男が更に薄くなっちまうぜ! もう少し雷太に愛の手を。
しかしこの話は本当に酷い。三次元では倒す事が出来ないアメーダスはハルと一緒に爆発しますが、亜空間へ退去する云々のくだりはエクシのオリジナル。アニメ見ても脚本見ても現空間で爆発してます(笑)だってそうじゃないとどうして倒せたのか分んないんだもん! 脚本家出て来い! 佐東茂? 誰だおめぇ!(高木渉調で)今まで脚本に関わってる人じゃないみたい。つまりはSFアニメだからって映画の「遊星からの物体X」的な話を出したかったんでしょう。因みに前回の予告ではアメーダスのセル画が間に合わなかったのか、代わりに巨大エイが出てました(笑)そう言えばアニメでも脚本でもジルが雷太の恋人かどうかは実は触れられておりません。地球を飛び立つ時にペンダントを雷太に残しているだけ、としか書かれてないから。でも悲壮な回なので恋人にする事で益々悲哀の度合いを一割り増しにしました(涙)龍飛さん的にはBFS内の生活密着型な話が出てお気に入りらしい。でもエクシ的には死人が出たのに何シャワー浴びてんだよお前、とか思っちゃうなあ(笑)
アフロディアのこの作戦はいつにも増して凶悪なもの。要するにジルを捕虜にして、宇宙服のバイザーからあのアメーバを((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
そりゃアフロディアの髪を掴んでフルボッコしたくなるわ。と言う感じで今日はここまで。
それではまた〜(L_L)ノシ