今はおやすみなさい

ペールゼンファイルズの最終巻でおったまげたエクシです。
とりあえず今日の挨拶。
俺達は死なねぇ!
なかなか見応えのあるお話でした。出来栄えは今までの巻の中でトップクラスだと思います。
続けて強引に見せてきた(笑)3CHさんの感想は……どうだったのかな?(笑)
と言う訳で一応終わりましたこのシリーズ、何と再編集されて劇場版になるようです。
一応ですが「初」ではありません。実は初の映画化は86年にザ・ラストレッドショルダーで達成されているからです。要するにOVAの劇場公開と言う事ですが、どっちが先かは卵が先か鶏が先か、な感じ。映画化されたと言う話は後で聞いたので、どの位の規模で劇場公開されたのかは覚えてません。多分地方限定とか一箇所だけでしかやらないみたいな感じだったと思います。CMなんてビデオの特典映像でしか聞いた見た事ないしね。
実は後の「野望のルーツ」でも放映しそうな勢いだったようです。劇場公開する……かも?なんて冗談映像が入っていましたから。
今回の映画化も多分その流れで行われる可能性(一部地域しかやらないとか公開は新宿の某所でとか)もありますが、何分一応のバンダイプロモーションなので、当時の東芝関連で映画を行っていた状況とは規模が違うと思われます。うは、三回位見に行っちゃうかも!(笑)
では恒例の作品解説と言うか感想。





注意! この先はネタバレをかなり多く含みますので未見の方は絶対見ちゃ駄目! 
モナド爆発
さて、まず今回の攻略対象のモナド惑星。長年エネルギーを断続的に放出するエネルギー体と言う事が前提。見つけたのはギルガメスなのにバララントに奪われてしまい、それを取り返して終戦に至らせようとするのがウォッカムの策略。勿論自身の戦略を考案する事でメルキア軍内部での絶大な権力を手にしようと言う彼の野望がはっきりしております。しかしモナドがエネルギーを断続的に放出するエネルギー体と言う意外、何も分かっていないと言う事が彼の策略の粗を顕すと考えられます。そこは後にペールゼンが指摘した事通りでしょう。
キリコ達が最深部まで到達してから(視聴者には)クエント文明産だと言う事がはっきりします(赤ん坊の泣き声やワイズマンの音楽等)が、バーコフも「クエント文明の遺跡」と言う事を知っている以上、軍上層部でも知らないはずは無いんですが。この時点でのクエント星でもギルガメスとバララントの戦闘停止条約が締結されており「触れれば怪我をする」と言う事(軍事行動を起こすと遺跡が発動しランダムテレポートさせられてしまう)が分かっている筈なのにウォッカムは焼けた栗を手に入れようとしてしまいます。ただ、多分キリコと言う因子がその場にいなければ、モナドは安全に攻略して彼の余生は安泰だったのでしょうが。
推測ですが、このモナド遺跡は実質的にはワイズマン直轄の遺跡ではなく、旧クエント文明の産物だと思われます。超古代クエント人は新しき人種「異能者」と戦争し、辛うじて勝つ(封印する)事は出来ました。そして口伝で「手を加えられた者を恐れよ」と後世に異能者の恐怖を伝えたのです。つまりこのアストラギウス銀河には旧クエント文明の遺跡と、異能者であるワイズマン直轄の遺跡(人口天体やクエント最深部遺等)があり両者は同系の技術を持ちながら相容れない存在なのです。
そう考えると、モナド最深部に到達したキリコ達に遺跡がどう反応するのか。
現状ではバララント軍が遺跡を掌握しようとしましたが、その最深部の解析は全く進んでおらず「断続的にエネルギーを放出」する遺跡からエネルギーを抽出するだけにとどめました。遺跡の星の上に鉄の地層(鉄層?)を敷いてエネルギーを抽出するシステムを構築、要塞化する事に成功はしましたが、逆を言えば未知のよく分からない物に外殻を築いて丸ごとくるむ、しか出来なかったのです。多分エネルギー体を解析しようとすれば触っただけでランダムテレポートさせられてしまうのでしょう。普通の人、バララントの人間ならテレポートさせられるだけ、に留められます。まあどこにテレポートさせられるかは遺跡次第ですが。
しかしキリコは違います。彼は異能者です。先に言いましたが、ワイズマン直轄のクエント遺跡ならまだしも、旧クエント人側の遺跡だとしたらどう言う反応を見せるでしょうか。結果、遺跡は機密保持の為に両軍もろとも爆発します。遺跡は「異能者に侵略され占拠された」と思ったのです。だから爆発と言う結果になったのだと思います。これもペールゼンが指摘している事ですが、ペールゼン自身は異能者とクエント文明の関連性にまだ気付いていない模様。後々にワイズマンが彼に接触したかどうかは謎に包まれます。
☆プロトナンバーゼロ
パーフェクトソルジャーシステムを構築したのは秘密結社と思われがちですが、実際に開発の基礎を組んだのはペールゼンです。その雛形とも言うべき存在がザキだったわけです。前半部「不死の部隊」でようやく明かされますが、ザキはキリコ達と出会うまでほぼ実戦経験の無い新兵でした。しかしそんな新兵が歴戦のキリコ達と同等の戦闘能力を持っている。これは「キリコを殺せ」と言う洗脳暗示と戦闘プログラムレクチャーの賜物だと言えます。実際には戦闘レクチャーを施されているかどうかはぼかされていますが、間違いなく彼はPSの雛形的存在、プロトナンバーゼロだと考えられます。多分レクチャーした事実やキリコがレッドショルダーだったと言う事も記憶操作されている為、本人にとっては全く自覚がありません。今までにこれほどPSに近い存在はいたでしょうか。ただし、キリコを殺せなかったと言う事実は、完璧主義者のペールゼンにとってPSとすら認められない試作型、なんでしょうが。
ペールゼンファイルズ
結局、ペールゼンは第一話、軍事法廷からの一件から全て計算づくで動いていました。あの時から全てが狂言回し。法廷に吊るし上げされてウォッカムが自分を助け(拘束して)て、キリコで実験を行わせ、不死の部隊が作れると思い込ませる。近似値であるゴダンやバーコフ、そしてコチャックと言う特別に生存率が高い兵士を同行させ、その中にキリコを暗殺させるザキと言う因子も組み込む。尋問時には必要な情報だけはウォッカムに与え、隠すべき情報には心肺停止状態で切り抜ける。勿論、メンケンと言う医師がいたから出来た事ですが、どこからどこまでが事実なのかはぼかしています。キリコ焼殺の件は実際に映像である為事実ですが、どんな事をしても死なない細胞と言う下りは実に怪しい。ただし、その事実自体をウォッカムに明かしても彼が誰にも話さないと言う保証がある(秘密を独占したい性格だから)のでキリコ出生の件に関しては恐らく事実だと思われます。冥土の土産みたいなものでしょう。
モナド攻略戦でキリコが作戦を成功させると言う可能性もありました。そうなると大幅にペールゼンのシナリオが狂いますが、彼は十中八九、作戦は水泡に帰すと思っていたはずです。ファイルには書かれていませんが、キリコが関わった場所は高確率で崩壊する事がペールゼンにも分かっているからです。
彼の狂言回しは全てキリコがいなければ成立しない事柄ばかりですが、生存率実験の肩代わりを誰かに行わせ、あわよくばザキと言う因子でキリコを抹殺しようと言うペールゼンの思惑はある程度まで達成されました。これは「キリコを抹殺する」と言う彼の、神への挑戦が始まった事を示唆します。完璧な兵士を生み出す、と言う妄執の末にキリコに辿り着いた彼は、人の手で生み出した兵士によってキリコを抹殺する事でそれが達成されると考えたのです。実はそれが、キリコを「神の子」へと到達させる道筋だったとは知らずに。
どーでもいいけど、メロウリンクも近似値に加えてあげて(笑)
☆ペールゼン、ルスケのその後
ルスケはJ・P・ロッチナと名称を変え、情報省へと志願。ペールゼンは直ぐに退役。その事でレッドショルダー問題(兵士同士での殺し合い等)はうやむやに。実はザ・ラスト・レッドショルダーの冒頭(キリコやグレゴルー達が別々の戦地へと転属する様をペールゼンが見ていると言う描写)は渡河作戦以前と言う事になりますね。レッドショルダー隊は軍事法廷の説明からほぼ解体(事故で殆どの隊員が死亡した)されていますから。きっとキリコも渡河作戦が始まる辺りで「レッドショルダー隊解体」の報を聞いて余り深く考えず、と言うかあんな隊が地上から消えて清々した、とか思ったのでしょう。実際にはレッドショルダー隊は事故で死んだと見せ掛け、ペールゼンの私兵として生存します。退役の直後か直前に終戦が決まり、そのどさくさに紛れて秘密結社に身を寄せると言うシナリオはかなり前から練られていたのかも知れません。
☆死なない兵士と作品観
「俺は全てを忘れる為にここに来た」と言う言葉からザ・ラストレッドショルダーが作られました。得たいの知れない、レッドショルダーと言う部隊がどんな物か知る為に「野望のルーツ」が作られました。そして「異能生存体」と言う言葉からペールゼンファイルズが作られたのです。そしてもう一つの目的として「戦争を描く」と言う高橋良輔監督の目的は達成されました。実は成り行きでこうなったんじゃないかと思ったりします(笑)本編への摺りあわせや矛盾等と言った事は全て優秀なスタッフに任せっきりな感がありますが、全ボトムズ作品を見てきたエクシにとっては、後付された設定でも矛盾を感じる事無く楽しく視聴出来ました。そう言う意味では、高く評価されるべき作品だと思います。
あ、でも今回登場した姿勢制御用不思議ポッド(バックパックに付いている円形型のアレ)は何だろうなぁ。重力発生装置? それとも人口天体限定で仕える磁力発生姿勢制御装置かな? ライナーノーツには書いてませんでした。ホビー誌とか見れば分かるかと思います。と言う感じで長くなりましたが、今日はここまで。
それではまた〜(+?+)ノシ