栄光無き会社たち2

タルカスのレアっぷりは異常

さて今回は前回の続きのドルバック玩具編。今日も頑張って書きまっしょいのエクシです。
今回玩具のボッタクル商店、リバティで購入したのは今は亡きタカトクトイスの玩具。変形トイを業界の中で一早く実現させ、そのクォリティは当時の玩具業界中最高の出来と言われたマクロスバルキリーを発売した会社です。しかし、1984年5月に不渡り手形を出して事業停止。惜しい会社を亡くしてしまったと当時は思っていた、かも(笑)で、実はこのドルバックシリーズがタカトクにトドメを指した張本人だと言う事実も厳然としてあったりして(笑)今回は玩具紹介と同時に何故タカトクが潰れたのかをちょっと考えていこうじゃないですか。
玩具会社として設立されたのは1963年と言うとんでもない昔。主な玩具作品は可変を扱った「超時空要塞マクロス」のバルキリーシリーズ。その時が人気のピークだったと思います。普通玩具と言うのは単品で全てを集約するはずなのに、当時のバルキリーシリーズには本体に被せるアーマードパーツを別売りで売るなど、現在の玩具会社がやっている事を誰よりも先んじて行った、極めて先進的な会社だったと思われます。ロボット玩具の肩や膝に可動する関節を積極的に仕込んだのも何処よりも先駆けだったと思われます。
三十代なら誰でも知っているタイムボカンシリーズの玩具はここから殆ど発売され、オークション等で高値で取引される物ばかり。タカトクと言えば玩具趣味人にとって宝物なのだと言えますね。生産量が低かった物にはプレ値が付くのは当たり前。更に出来の良い玩具には途方もない価値がつきます。ドルバックシリーズはその最たる物だと言っても過言ではありません。
しかし、83年を契機にその勢いは衰えていきました。事業拡大といった様々な理由は挙げられますが、一番の理由としてはアニメ番組のスポンサーを受け入れ過ぎた、と言うことでしょう。ここでタカトクが潰れる寸前のアニメスポンサーをちょっと挙げてみましょう。


銀河疾風サスライガー 1983年4月〜1984年1月まで放映、テレビ東京 
前番組「銀河烈風バクシンガー」から続けてのスポンサー。前回は幕臣と爆心を掛け合わせ、新撰組の題材を扱った為か、そこそこの売り上げを記録したが、今回は「80日間世界一周」がモチーフでさすらう、旅をすると言う事とモデルとなるのが禁酒法時代のギャングと言うことで、日本人にはイマイチ馴染みが無く、人気が出なかった。放送局もテレビ東京だけと言うのが痛い。エクシは顔が命だと思うんですが、汽車から変形してロボットになったらなったでサル顔というのはどうかなーって感じで。玩具はこんな感じ。正に猿。

超時空世紀オーガス 1983年7月〜1984年4月までの放送、TBS系列 
前作「超時空要塞マクロス」から続けてのスポンサー。前回の映画化等はやはり戦闘機トムキャットを題材にしたバルキリーが一番印象深い作品です。キャラクターにしても三人の男女の三角関係を中心にして描かれ、メカやキャラが両立して人気の高かった作品。渋いキャラクター、フォッカーさんの葬式が行われた事は結構有名。しかし今作のオーガスは前作メカデザイナー河森正治が続投出来ず、代理の宮武一貴がデザインしたがそのデザインの奇抜さ、異世界とは言え現代の兵器とは程遠い構成がファン離れをおこしてしまう。更に前回のキャラクターは純情青年と言う設定だったが、今作ではプレイボーイで女性にとってはかなり外道と言うキャラが主人公だった為、せっかく前作で獲得した女性ファンも離れていったようである。全35話で、最終回の投げっぷりは打ち切りなイメージが強い。
玩具売り場にてオーガスの玩具を見た子供が「顔が怖い」と言って泣き出してしまう程のデザインだったのも致命傷か。タカトク玩具はあるけど出すの面倒なので今度出るメガハウスので代用。鳥をイメージ? 確かに怖い(笑)

特装機兵ドルバック1983年10月〜1984年6月までの放送、フジテレビ系列
これは前述したからいいですよね。物語が地味だと言う事が致命傷。ニクールで終わらせておけばよかったのに、と言う惜しい作品だったかも。ちょっと無限キャリバーの変形の仕方を貼っておこっと。


変形の仕組みはどちらかと言えばバルキリー、と言うよりZガンダムに似ている。胸部装甲とバックにあるタイヤのホイールが顔を包み、足が股から大きく開かれ腕が内側に収納。ひっくり返してコクピットを出して足は本体を挟み込んで変形完了。
因みにこれは無限キャリバーではなく、後でトランスフォーマーの一つとして発売された「ロードバスター」を商品化した物。ロードバスターはアニメでは登場せず、コミックスだけに出た物なので、日本では発売されなかった。日本未発売と言う意味でも結構貴重かも。タカトク倒産後は様々な金型が流出し、オベロン・ガゼットドルバックの青いヘリね)もホワールと言う商品名で発売された。タルカスだけ仲間はずれで商品化されなかったのは顔が無いからと言う理由があるのかもね。なのでタルカスの相場は他の二機に比べると1.5倍位になってしまいます。


と、まあこんな感じで被りまくっていたわけです。更に、リアルロボットの金字塔とも呼べる1983年4月の「装甲騎兵ボトムズ」にあっさりリアルロボットファンを取られてタカトクの敗色は濃厚だったと言えるでしょう。プラモと違って単価の高い玩具は売れれば結構な利益になりますが、売れなければかなりの大赤字。ここでタカトクが玩具からプラモデルへの変遷を行えば或いは、と思うのです。ガンダム放映後のガンプラの売れ行きは尋常じゃなかったでしたから。惜しいですね、本当に。
さて、まあこんな感じでタカトクが凄い会社でありながら惜しくも倒産してしまったと言う現実を理解して頂いたでしょうか。経営って難しいと思いつつ、玩具に固執し最後まで良い玩具を生産していったタカトクの姿勢には脱帽します。バンダイには本当に見習ってもらいたい所ですね。栄光無き会社、タカトクを皆さん忘れないでくださいね。
それではまた〜。