赤い悪魔はトラウマの印

すっかりテッカマンブレードコラムになってしまっているエクシです。
今回は2chや別のサイト様から頂いたTV放映の続きのお話を編集、添削して発表していきたいと思っておる次第です。これはかつて、niftyの会議室にて発表された試作のシナリオ。もうそのログも消えて、今では2chの過去ログにしか無いとのお話です。ちょっと文体もアレなんで少し読みやすい様に書き直しました。本来はこのお話(全部で四話分)が「宇宙の騎士テッカマンブレードⅡ」になるはずだったそうですが、余りの暗さに売れ筋路線(ギャルとか裸とか)に急遽変更になったそうです。ま、でもこっちの方がブレードらしいと言えばらしいかも知れません。
情報元はこちら。
http://comic.2ch.net/ranime/kako/1010/10108/1010855241.html
後、教えて頂いたクウラ完全体様、誠に有難う御座いました。
嗚呼……本当に暗っ!! それではどうぞ〜。


宇宙の騎士テッカマンブレード「ラダム再び」編 第1話

連合地球暦193年2月2日。ラダムの母艦はDボウイの捨て身の戦いによって崩壊し、その侵略も幕を閉じた。いや閉じたはずであった。だが…。
ラダムによってフォ−マットされてしまった素体テッカマン(注1)達がフリ−マンの尽力に より蘇生、その後宇宙開発や地球の復興の先兵として今や彼らは人類にとって無くてはならない存在になった。
テッカマンか……」
ふと仕事の手を止める声の持ち主、スペ−スナイツの新隊員Dr・フレイルである。その15〜16歳に見える顔の幼さとは裏腹に、目下フリ−マンとテックシステムの共同研究を進めるやり手の天才科学者である。
カ−テンを開け窓外を見るとここは何とオービタルリングシステム(以下ORS)…。そう、スペ−スナイツはその本部を地球の行政機関と共に、ORSに移していた。そんなORSの窓から見えるのは素体テッカマン達の働く姿。今や宇宙開発のエリ−トとも言える彼らテッカマン。が、そんな彼らを見るフレイルの目は複雑であった。
「確かにテッカマンは地球を守った英雄だ。けれど人類は本当にテッカマンという存在 を気軽に受け入れて本当に良かったのだろうか…」
その頃、遠くの宇宙では猛スピ−ドで進む隕石群があった。その隕石はまるで生きているかの様に脈動しつつ進む。…地球を目指して。
ORSの医療セクションの一室…。二つのケ−キ、二つの椅子、二人の影、けれど誕生日を祝う声は一人…。静かな…静か過ぎる22歳の誕生日……。愛する者はいる、平和な日々もある、だけどここに愛される喜びは無い。
アキはDボウイとの日々に疲れ始めていた。
「誰も、誰も何にも判っちゃいない!」
皿ごとケ−キを払いのけるアキ。その皿が鏡を直撃し、ひび割れる。鏡の一つ一つに写るアキの顔は泣いている様に見えた。

一方、金星の開発基地では、突然のスクランブルが掛かっていた。太陽の黒点現象により、謎の隕石群が接近していることに気づくのが遅れたのである。直ちに発進する金星駐留のソルテッカマン部隊。だが…。
その瞬間である、反応一つしなかったDボウイが突然悲鳴をあげて暴れ出したのは。まるで何かに怯える子供の様に暴れるDボウイ。その額が精神感応(注2)に光る。
Dボウイの感応と時を同じくして突然隕石は姿を変えた。その瞬間ソルテッカマン達の見たものは……異形のテッカマン、異星人テッカマンであった。一瞬の内に全滅する金星の基地。
テッカマンだ!ラダムが再び攻めてきたのだ!」
フリ−マンからの情報によると、Dボウイの感応によりテッカマンの接近は明らかな事実のようだ。そして、今までの研究によりテッカマンはラダム人そのものでは無いこと、よって現在接近中の生命体は過去にラダムによって征服された異星人のテッカマンであることが告げられる。今回のDボウイの異常な感応の仕方もそれに起因するものであろう、と。
つまり、Dボウイの今回感応した相手はまったく精神構造の違う異星人だ。そんな生命体の剥き出しの心と感応するのは、彼に相当の苦痛であろう、と言うのだ。そしてこの感応が続けば、Dボウイの弱った精神と体では二日ともたないで有ろうと。
「あんな思いをして……、あれほどの思いをしてようやく手に入れたちっぽけな安らぎ。だがラダムは……、それさえも私から奪い去ろうというのか」
この事を知ったアキは無力さを噛みしめていた。かつてのDボウイの戦いの時の様に、今回も自分には祈る事しか出来ないのか。彼に残されたたった一つのものが、命すら奪い去られようとしているというのに……。
考えこむアキにフリ−マンは、地球製のフォ−マットによるテッカマンを作るという計画をもらす。真先に志願するアキ。が、フリ−マンは止める。この実験はまだ未完成で成功確率も低いからだ。その為フリ−マンは自らをモルモットにするつもりだったのだ。それでもと必死に講うアキ。が、フレイルはそんなアキを安っぽいヒロイズムとしかりつける。
テックシステムへ足を運ぶフリ−マン。その時、一発の銃弾がチ−フの足元に炸裂する!
「下がってください、チ−フ……」
どうしても、どうしてもDボウイの苦しみをみていられなかったのだ。そんな手前勝手な理屈でテッカマンになろうとするアキにフレイルが叫ぶ。
「偽善者!」
「悪い? 何とでも言って。例え1%でも、0・1%でも…Dボウイを(この手で)助けられる可能性が有るのなら……」
人を呼びアキを取り押さえようとするフレイルを銃で止め、アキは装置を作動した。


そのころ、軍本部で異星人テッカマンの目標コ−スが地球突入からORSの医療セクションへと変わったとの報告が入る。先発隊の目的がDボウイだと気づいたフリ−マンは、直ちに彼の避難を要請、ラダムによるDボウイ再洗脳の可能性に気づいたのだ。アキがテックシステムから出てくるにはあと6時間は必要だ。ミリ−はさっそくDボウイを連れて逃げる。そしてそれを追う異星人テッカマン。更にそれを迎撃せんとするソルテッカマン部隊。かくてORSを舞台に市街戦がくりひろげられる。ノアルも新型ソルテッカマンに乗って出動、なんとか第一陣は倒す事が出来た。その間にミリ−たちはスペ−スポ−トに到着。Dボウイをブル−ア−ス号に乗せて脱出させようとするが、そこで第二陣の出現。第二陣は不気味な群体生物だった。バラバラになった異星人テッカマンソルテッカマンに張りつき、次々と自爆していく。その間に残りがブル−ア−ス号に突入、ついにDボウイも捕まった。群体テッカマンはDボゥイに取り付き、何故か自爆せずに飲み込もうとする。
その時、光一閃、異星人テッカマンを真っ二つにしたのは……。赤いテッカマン、アキ(注3)である。
かくて異星人テッカマンは全滅したのだが……。戦い済んで、Dボウイの前にやってきたアキを待っていたのは、Dボウイの恐怖に怯える顔。今のDボウイにとってアキは只のテッカマン、そしてそれは彼にとっては恐ろしい者以外の何者でもない。Dボゥイは赤いテッカマンであるアキを見て記憶の奥底からエビルを思い起こしたのだ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」
そしてアキは逃げた、絶望の叫びをあげながら……。
“何の為にテッカマンになったの、誰の為にテッカマンになったの、なのに……何故? 何故! 何故!?”
そして異星人テッカマンを撃退したにもかかわらず、不安げなフリ−マン。
「あまりにも簡単すぎる。ラダムの真の目的は一体……」
かくて、各自の不安と絶望を乗せ、時は再び回り始める。新たなる時が……。


(注1)素体テッカマン……二年前の第一次ラダム戦役にて簡易テックシステム=ラダム樹に取り込まれた人々の事。素体テッカマンは攻撃力・防御力はテッカマン程ではない物の、強靭な肉体を持っていると言う意味では超人と言える。宇宙空間のような真空でも行動を制限(基本的に人間が宇宙服を着て宇宙空間に出るには13時間以上掛かる)されず、数年の訓練が必要とされるEVA(宇宙船外)活動も気軽にこなせる。復興に大いに貢献し、エリートになるのに時間は掛からなかった。

(注2)精神感応……素体やテッカマンになった者は超人、超能力者であると言える。更に精神感応、テレパシー能力をも有する。第一次ラダム戦役ではブレードはシンヤ=エビルからテレパシーを度々受け取っていた事がある。ある程度の制限があるらしく、特殊な条件(完全体やラダムに調整されたテッカマン限定)下でしかテレパシーは出来ない。尚、続編であるイーベル・ゾマー・ベスナーはこの能力を制限されているようである。これは、ラダムからの精神感応を受け難く様にする為(戦闘時に精神感応による妨害も考えられるから)であろう。精神感応は基本的に距離がどれだけ離れていても交信する事が出来る上、電磁波等の電波障害と言った制限を全く受けない為、戦略上非常に有益な交信システムである。

(注3)テッカマン・アキ……如月アキがテックセットしたテッカマン。通常、テッカマンとは素体状態から光物質変換機能によるアーマーを纏って戦闘状態となるが、アキは素体を経ずにテックセットする実験体な為、素体と戦闘体の中間の能力しか持たない。故に素体程脆弱でも無く、戦闘体程強固でも無い。テックセットと飛行にペガスの補助が必要な為、武器を作りだす事も自ら飛ぶ事も出来ない。ボルテッカ機能も当然無い。主に戦闘はエビルの遺したテックランサー(刃部分のみエビルのランサーを使用。可変型で刺した後、刃を三つに広げる事により殺傷能力を高めている)による近接格闘で行う。左手にテックワイヤーを模したワイヤー射出装置(腕輪型)を装備し、ワイヤーで敵を捉えてランサーで止めを刺すという戦法を取る。


っはい。まず順調とは言えない滑り出しですね(笑)ヒロインのアキが今度はDボゥイ並の苦しみを味わっていくと言う今回の物語はLD特典の予告編「MISSING LING」の話に相当します。ようつべはこれね。
http://www.youtube.com/watch?v=AV57Gf_cI-E
まさかまだログが残っているとは思いもしませんでしたが、これから数日掛けて読みやすい様に編集していきます。注釈もいっぱい調べまくって作りましたので見てくださいね。
それではまた〜。