元祖っちゃあ言やこいつだよなw

もういい、もういいだろうのエクシです。
もうこれでブレードの事考えなくてもいいだろうと思う次第です。泣いても笑っても最終回。これで終わりです。そしてまたDボゥイの伝説が始まります。しっかり読んで下さいな!


宇宙の騎士テッカマンブレード 「ラダム再び」編 最終話

 ラダムの人類抹殺計画、それはDボウイの体内にある光物質変換機能を利用してホワイトホールを作りだし、一気に太陽系を消滅させんとするものであった。テックシステムを打ち破り、ラダムの侵略を未然にくいとめた人類。それは彼らラダムにとって宇宙で最も危険な存在といえた。それ故ラダムは危険な人類を一気に抹殺すべく今回の太陽系消失プログラムを発動させたのだ。
そしてそれを止めるには、皮肉にも素体テッカマンのアンテナ(注1)となり、今やホワイトホールと化そうとしているブレードを自らの手で殺すしかない。万策つきたフリーマン達。もはや地球を救えるのはアキしかいない。だが、そのアキは、未だ立ち上がれないでいた。
何とかアキに立ち上がってもらおうと頼む仲間達。だが、アキは恐怖に慄く。思わず別室にこもってしまうアキ。ドア越しにフレイルは語りかける……。静かに、呟く様に。
「貴方と同じ様に今の私の手も汚れている。かつての貴方と同じように今の私にできるのも只祈る事だけ。でも今の貴方には力がある。例え忌まわしい力でも、その力は貴方の運命を切り開く事の出来る力が。それを望んだのは貴方じゃなかったの、Dボウイを守るために、Dボウイが守ろうとしたものを壊さない為に!」
「Dボウイを……守る……」
焦点の合わない目をしながらフラリと立ち上がるアキ。ゆっくりと、ゆっくりとフレイルのいるドアの方に近づいていく。が、その時である。ブレ−ドを中心に起こる重力波による嵐で家の天井が崩れだした。
「アキさん、フレイルさん!!」
ミリ−の叫ぶ声が崩れる家の轟音に打ち消される。
アキが気がつくと、目の前にはフレイルが倒れていた。二人とも無事である。
「何故……」
ふと見ると、二人の上にはペガスⅡ(注2)が。その身を挺して二人を守ってくれたのだ。だが、その体は重力波から家を守る為にボロボロであった。
「あ、アキ……」
と言うそのペガスⅡの声に混じってアキは聞いた。彼女の最愛の人の声を……。
「Dボウイ!!」
そう、ペガスにインプットされていたDボウイの声が、今のショックで流れ出て来たのであった。
「……ペガス……、俺の最後の命令だ。今から俺はラダムの母艦に突入する。その、最後の時まで俺を援護しろ。最期まで……」
Dボウイの声に涙も出さずに打ち震えるアキ。
「そして、もしもお前独りだけでも生き延びたなら……その時は守ってくれ、アキを。俺にカワッテ、カワ………テ………テ………」
そして、沈黙。アキは泣いていた、いつの間にか。
自分の事など振り切って行った、そう思っていた。振り切って、家族の魂を救う、それだけの為に破滅へと向かっていった……そう思っていた。でも、彼はその生命の最後の時にも、自分の事を思ってくれていた。
その事が悲しくて……その事が嬉しくて………。
そしてついにアキは立ち上がった。今こそ彼が信じられるから。今こそ彼の全てを愛する事が出来るから……。
エビルのランサ−をその手に携えて、彼の最後に残された命をその手で絶つ為に。いや、愛する彼が命を賭けて守ろうとしたものを守るために。一同にさよならの一言を残し、二度と帰らない戦いへ赴く。

かくてアキとブレードの死闘が始まった。恐らくかなわないであろう戦い。だがブレードはアキに止めをささない。いや刺せないのだ。ブレ−ドの中に微かに残ったDボウイの意思が、ラダムへの最後の抵抗を試みていた。それは、あたかもDボウイがアキに自らの魂を救えと言っているかの様に。
その一瞬の隙をつきアキのもつランサーが彼の胸を貫いた。
その刹那、充分に育ったワームホールはブレードを離れ、その奥から赤色星を守るガーディアンが姿を現す。全ては遅かったのか。地球は、Dボウイの思いは無駄となるのか。
「そうはさせない!!」
と、ガ−ディアンを倒すべくワームホールへの突入を決意するアキ。このガーディアンこそラダムが肉体的に最も進化を遂げた時をモチーフに造り上げたモニュメント、言わば元祖テッカマン(注3)とも言える存在であった。これを倒さねば地球は終わりだ。ペガスⅡが、エビルのクリスタルを胸に特殊フィールドを作りだしアキの手助けをする。ボロボロに、ボロボロになりながらもワームホールへ突入していくアキとペガスⅡ。
そしてガーディアンとアキの死闘。流石にラダムが最後の切り札としていたガ−ディアンである。戦いはアキの一方的に不利な状況となる。
「ここまでか……」
そう思った瞬間、ワ−ムホ−ルの中で輝く一条の光が。
「あれは……」
ブレ−ドだった。この上ブレ−ドとガ−ディアン、テッカマン2体と闘う力などアキには残されてはいない。
「駄目なの……いや、負けはしない。あの人の為に!」
迫り来るブレ−ド。構えるアキ。が、その光は、アキの横をすりぬけてガ−ディアンに突き向かっていく。
「Dボウイ……じゃあ…じゃあ!」
そう、これこそラダムの作ったワ−ムホ−ルが起こした奇跡であった。ワ−ムホ−ルの中は時間の概念が通用しない。それ故に、Dボウイの神経核破壊をも無くし、正常な彼を呼び戻したのだ。だが、これはこの中だけの事。正に一瞬の逢瀬であった。そしてアキはペガスⅡとブレードとの合わせ技の最終兵器(注4)でガーディアンを粉砕、かくて地球は救われた。戦い終わって眩しい夕日の中で……近づいてくる一同から逃げる様に去ろうとするアキテッカマン。例えどんな理由があろうと愛する者を殺そうとしたのだ。アキは去り、二度と戻らないつもりであった。だがそれをフレイルが止めた。
「もう、逃げる事はないわ。例え……彼に拒絶されようと貴方は、貴方の信じる様に愛すればいい」
そしてアキはDボウイに近づく。脅える少女の様に。固く、冷たいその手を震わせて。
「こんな・・・私でも・・・愛してもらえますか・・・」
その時! 動かないはずの、意思の無いはずのDボウイ(注5)の手が動き、アキの手に重なる。冷たいはずの目から流れ出るのは涙か。
「Dボウイ………(首を振り)ううん、タカヤ」
夕日の中重なる、二つのシルエット。そしてそれを見守る一同。貰い泣きのフレイルにフリーマンが呟く。
テッカマンは確かに人類にとって早すぎる危険な玩具かもしれない。だが、きっと人は、それを克服する……」
フレイルも頷き、
「信じます……人の……強さを……」
そして、又明日が始まる……。


(注1)素体テッカマンのアンテナ……精神感応能力が強いラダムテッカマン(ブレード)を介して素体達を暴走させたこの事件を契機に、素体達の未来は暗く淀んでいく。いつ暴走するか分からない彼らを扱うのは危険だからである。今後各地で素体達の暴動が続発、これは言われなき迫害と弾圧が原因であるが、いつ殺人鬼と化すか分からない者が近隣にいるのでは無理もない状況と言えよう。連合地球暦198年に素体達は独自でテックプラント(第一次ラダム戦役にラダムが遺した物)を開発し、雌雄混合体テッカマンミハエルを作り出し一大暴動を行うが、テッカマンアキによるミハエルの撃破、連合軍の反応弾使用により鎮圧はされた物の更に人間と素体達の齟齬は拡大していく。これが後に言う、プラハの黒い九月である。

(注2)ペガスⅡ……ペガスⅡは第一次ラダム戦役でDボゥイを支援した機体の残骸を回収、修復してアキの支援ユニットとして生まれ変わった機体である。ブレードとの戦闘データをそのまま使用しているので、Dボゥイの最後の一言もメモリーに残留していた。胸にはエビルが遺したクリスタルが装着されており、クリスタルフィールドを展開する事も可能。テッカマンアキとこのクリスタルの関連性は不明だが、アキのパーソナルカラーがエビルと同じ赤いと言う事は少なからず関係があるかもしれない。

(注3)元祖テッカマン……元祖って言えばこいつしかいないよね! タツノコはこの作品で前作テッカマンを出す事を決定していたのかもしれない。一回位出したい、その望みも叶わなかったけど、僕達はずっと覚えているよ!(笑)
♪宇宙の騎士っ宇宙の騎士っ(ジャンジャン!)テッカマァ〜〜〜〜ン♪

(注4)最終兵器……合わせ技と言えばスーパーロボット大戦Wの「ダブルランサーコンビネーション」の事だと思われる。だってアキってボルテッカは撃てないし。最後は爆風を背に抱き合ってV!(笑)通称夫婦アタックと呼ばれていたりいなかったり。Wのブレード優遇っぷりは本当に異常です。

(注5)意思の無いはずのDボゥイ……この脚本ではワームホールによってDボゥイの神経核が回復したとされているが、実際には謎のクリスタルを埋め込まれ、発動した時点でDボゥイの身体機能は回復した(埋め込まれる前は廃人だった)と考えるのが自然である。しかし、クリスタルはラダム側から埋め込まれた物なので人類抹殺プログラムを発動、Dボゥイは一時ラダムの尖兵となる。だが、ラダムの誤算は時間の概念の無いワームホールを展開させ、Dボゥイの自意識を目覚めてしまった事にある。プログラム終了後、ラダムにとって爆弾・捨て駒だったDボゥイは用済みとされ、自意識はそのまま守られたと考えられる。勿論、Dボゥイが持つ人の心の強さが無ければ今回の侵略を未然に防ぐ事は出来なかっただろう。


もう今回三点リーダー使いまくり(笑)これでブレード神話は一度終わりを迎えます。続編? まあそこら辺で見てくださいよ。この作品こそがテッカマンブレードⅡなんですから。
しかし、萌えとかが流行っている今の時分でもブレードⅡの存在が認められないのはちょっと不思議。まあ前作ファンからすれば黒歴史認定作品なので仕方ないと言えば仕方ない。それでもブレードⅡではブレードが出てくるので嫌いじゃないよ? 主役(ユミ)は嫌いだけどさ。
因みに第一次ラダム戦役でDボゥイは死んだ事になっています。これは過去を忘れて欲しいと願うスペースナイツチーフの配慮だと思われます。第二次に復活した事もⅡのその時までまたひた隠しにされます。だってブレードが引き起こした今回の騒動は結構許されざる危険人物と見なされてもおかしくは無いからです。今後、Dボゥイはスペースナイツの地下深く、Dルームに移り住み、スペースナイツのスペシャルアドバイザーとなります。宇宙からのラダムの精神感応を簡単に受けないようにする為です。いつかラダム本星へ赴き、ラダムの存在を消し去る、その時まで。
さて、今回でブレードコラムは終了です。様々なアドバイスを頂いたクウラ完全体様やニム君、有難う御座いました。
それではまた〜。