第16話 悪夢からの脱出

闇の中を声を頼りに歩く。父の声が回りに響く。マリンは幾ら叫んでも、目を凝らしても見つからない。光が差したその場所に父の影が映る。そこに駆け込んだ時、父は月影になり、ガットラーになった。そして言うのだ。お前は人殺しだと。更にその影はジェミーや博士になり自分を人殺しだと責め立てる。アフロディアはその中で最も怖ろしい巨大な影となりマリンを責める。死んだはずのミランまでも。自らの手で鉄片を投げつけて殺した記憶が鮮明に蘇る。自分が殺すときはいつも仕方ない時だった、そんな言い訳をするマリンだが亡霊達は聞き入れない。足を踏み外して落ちる様な感覚と共に意識が覚醒した。今までに経験した事の無い、最悪の夢だった。
汗まみれの身体を熱いシャワーで流して気を取り直す。BFS基地の展望台で夢を忘れようとしていた時、早朝だと言うのにジェミーがやって来た。ジェミーは母を、マリンは父を。お互いに親のやるせない夢を見る。だがマリンは父の夢だけではなかった。その事を話そうと、ジェミーの肩に手を置いた時、マリンに異変が起こった。手、自分の両手。人殺しの手。愕然となったマリンへ警報が鳴る。アルデバロンがまた人々の街を襲いに来たのだ。
月影が三大メカを緊急発進させようとした時、ジェミーもオリバーに追従する。マリンの様子が変だと先程の遣り取りで分かっていたからだ。そんな二人に軽く嫉妬するオリバー。だが彼の返事に覇気が感じられない事から、確かにいつもと違う様子を感じ取る。
激しい攻防。透明円盤の猛攻を辛うじてかわすオリバーと雷太。しかしマリンのパルサバーンにはいつもの燃えるような戦闘力が皆無だった。仲間の声が聞こえるが反応出来ない。反撃しようと考えるが行動に移す事が出来ない。次々と被弾していくパルサバーンから炎があがる。
「手が! 手が動かない!!」
仲間の助けで窮地は脱した。しかし彼の意識がほぼ無くなってしまった事から基地で精密検査を受ける事になった。医務室で横たわるマリンはショック状態に陥っていた。クインシュタインが彼の病状を冷静に判断する。極めて強い精神疾患であり、そして今の所回復の目処が立たない事が分かる。だが一つだけ荒療治とも言える治療方法があった。
暗闇で両手を鎖に繋がれもがき苦しむマリンがいた。そこへ、美しい女神が現れる。そこにいてはいけない、自分の力で鎖を解き放てと。クインシュタインを象った女神はどうしても鎖を解くことが出来ないマリンに「貴方一人の命ではない」と諭す。その言葉の意味を考え強く頷くマリン。女神に笑顔がこぼれた。
脳波探査装置の電源を切るクインシュタイン。重度の精神疾患に陥ったマリンの深層意識に触れ、その症状を改善させようとしていた。装置で彼の心の奥底に一つのきっかけを与える。それが精神疾患の回復の鍵となるかどうかはマリン次第であった。無理矢理回復させる事は出来ない事は無いが、彼の自意識を崩壊させてしまう恐れがある為、きっかけを与えるだけに留めたのだ。
ショック状態から何とか回復したマリンであったが、時折手が動かなくなる症状は改善していない。そんなマリンを優しく励ますジェミーがいた。展望台で二人が会話している所を見て部屋に戻るオリバーはベッドの傍らに置いてある聖書に目を通す。そこへ突然訪問するマリン。動揺するオリバーに藪から棒に「ジェミーが好きか?」と質問してきた。からかいでもなく本心から答えて欲しいマリンがいた。しかし「聞いてどうする」と返答されると、今の自分の行動が衝動的な事から発せられたものだと思いつい黙ってしまう。ジェミーが本心から自分の事を好きだと言う事は痛い程にわかっているマリンである。今の苦しい状況をジェミーに頼る事で緩和させられるのならそうしたい所だが、仲間として好意を持っていたとしても女性として愛する対象ではない。それに以前から彼女に思いを寄せていたオリバーに悪いと思っているのだ。そんな混濁した思考にオリバーは聖書の一節を朗読し冷静さを取り戻させる。
神の言葉、キリストの言葉。S-1星に宗教は無かった。しかしその一節や言葉はマリンの記憶の奥底にある知識を思い起こさせる。六日で天地を作り人を作る。それは学生時代に習った「創世記」の記述に酷似していた。アダムとイブ、その人名には聞き覚えが無かった。だが遠く離れた異星の歴史と地球の文化の似た部分を見出し、同じ行動をする神に二人は疑問を深めていった。
疑問は敵の襲撃でうやむやにされる。まだ症状が残っているマリンであったが、戦いの中で失った力は戦いの中で取り戻すしかない。クインシュタインは敢えてマリンの出撃を促した。
透明円盤の猛攻。追い立てられるマリン。月面の峡谷を凄まじいスピードで潜り抜ける。相変わらず自分の腕は鎖に繋がれている様な感覚があったが、夢の中で女神に言われた言葉をマリンは戦闘中に反芻していた。自分が倒れたら誰が地球を守るのだ、と。その時自分の心の鎖が割れる音を聞いた。手が思い通りに動く。自分自身を縛り付けた罪の意識より、地球を守ると言う強い心が勝ったのだ。峡谷の行き止まりを回避し、透明円盤を激突させる。度重なる敵の増援。しかし本来の戦闘力を取り戻したマリンに敵はいない。バルディオスにチャージアップし、復活した力を存分に見せ付けた。アフロディアの作戦はまたもや失敗したのだ。
様々な疑問は残りつつも、マリンは完全に自分を取り戻した。結局自分を縛り付けていた鎖は自分で解くしかない。仲間達や青い地球がある限り、マリンは侵略者と戦い続けるであろう。

エクシ感想……PTSDにかかっちゃうマリンさん。何故今更?とか思う人は結構いるはず。基本的に生身で戦う時には殺さずなマリンですが、透明円盤って結構な人数が乗れるはずだよね……。一応一機に一人と言う事にしておこう。でも何千機と潰してるんだよね……(笑)やっぱり精神状態がヤバげな状況に陥ったら好きでもない女にも甘えちゃうんじゃないかと推測。だってマリンだって男の子だもん! でもそんな状態でも根性で乗り切るヒーローがそこにいたって感じでしょうか。未来の脳波探査装置は便利ですね。全世界の鬱病患者さんがこの機械があったらなあと思ったり思わなかったり。

さて最後のネタとしてバル最新情報です〜。
それも……!
バルディオス玩具製品化!!
なんですようもう!
と言う事で問答無用でアップします。どっかから文句来そうですがとりあえず無視なんだぜ!


分かる限りのデータとして、発売元はCMsコーポレーション。時々悪い物を作り時々良い物を作る会社ですね。全高20cm、以前出たゴーショーグンと肩を並べられそうで楽しみ。価格は未定、発売は2008年の6月と出ていますが前情報が全く無かった為、正直その月に出るかどうかは微妙です。
セット内容はバルディオス本体、武器のサーベルと設定でしか無かったシールド&レーザーボウガン。龍飛さんの漫画では大活躍してましたっけ(笑)何故か透明円盤が付属します(爆笑)透明プラで作って欲しい処。ショルダーキャノンは差し替えで再現可能。そして差し替え無しでパルサ・キャタレン・プライズに変形可能です。パルサバーンの変形方法が公式とちょっと違いますが(公式では腕が胴体に収納される形式ですがこの製品では顔を収納された場所にいく模様)この方がいいかも知れません。
キャタレンとプライズの変形が折り畳み変形なのがちょっと怖い。時々この会社は精度が低いパーツ使うから結構割れる可能性があります。ガクブル。一応キャタレンのキャタピラが変形用とプロポーションアップパーツが付く模様。そんなのいいからとてもよく動く両足パーツを付けて欲しい処。これ膝がちょっと曲がらないんじゃないかと心配してしまう。多分もう一つ軸が内臓されている模様。でも変形と可動を両立させると壊れやすくなるから正直ドッキドキです。ガクブル。
価格は……まあいつもの如く一万越えなのは確かでしょう。以前出たゴーショーグンは13000円。さて今回は幾らになるでしょうか? 大きさから釣り合ってないんだよね、価格が。出して貰えるだけマシなんですがね。と言う感じで今日はここまで!
それではまた〜(U_U)ノシ