第18話 裏切りと暗殺の旅路 後編

長官が自分を裏切った。隠れ家に向かう最中にマリンを暗殺しようとしたのだ。地球人への失望はこの事から決定的になり、美しい地球に住みながら地球人の心は余りに汚い、マリンはそう処断し愛想を尽かす。そしてデグラスに説得されるまま、マリンはガットラーに会う為亜空間要塞アルゴルへと向かうのだった。S-1星人として地球を侵略する為に。
ブルーフィクサーの面々は敵の来襲から反射的に出撃準備をしてしまう。待機命令が出ている以上、そんな事に意味が無い。その中でジェミーは不自然に思っていた。ガムジャードは敵を見事に撃破している。長官は優れた兵器を扱う人間がいないと評価したのに。もしこれが敵の罠、わざと負けている様に騙されているとしたら……。
そしてその予感は的中した。占領地の四分の一を返還しないデグラスに対して連盟は抗議するが、欲しければ力で取り返せ、真に恐れる者はバルディオスだけだと断言される。連盟はガムジャードを出撃させアルデバロン軍を全滅させようとしたが、空母の一撃で呆気無く撃墜される。彼らはいつでもガムジャードを打破する事が出来たのだ。
まんまと罠にはまった連盟はブルーフィクサーに出撃要請を出す。隊員達は余りにも勝手な仕打ちに抗議した。更に先程のデグラスからの通信でマリンがアルデバロンの軍門に下った事を知らされる。混乱する雷太とオリバー。しかし、現在地球を守れるのは自分達しかいない。マリンの裏切りは心残りではあったが、最終的にはマリンを信じ、今自分達が出来る事をしようと出撃を決意するのだった。
雷太とオリバーが激戦を繰り広げているその頃、マリンはガットラーとの謁見に臨んでいた。多くの幹部達が見守る中、マリンはガットラーとの対面を果たす。ガットラーは敵としてずっと戦ってきたマリンを賞賛し、マリンは共にS-1星人として戦う事を約束する。しかしガットラーの傍らにいたアフロディアが反発した。マリンは簡単に信念を変える男ではない、と言うよりもそれはアフロディアの願望でもあった。そんな事を気にせず握手を求めようとしたマリンに平手を見舞う。見損なったと背を向けるアフロディア。
ガットラーはアルデバロンの一員になる条件としてBFS基地の所在を明らかにしろとマリンに命じる。ずっとスパイを送り込み、所在を探していたアルデバロンにとって最重要の攻撃目標である。マリンにとって今まで家同然であるはずのBFS基地。しかしためらいも無くその所在を告白する。南米のアマゾンの正確なポイントを告げると、直ちに総攻撃の準備が開始された。ガットラーに野望の笑みが浮かぶ。
デグラスの戦闘艦を展望台の窓から見送るアフロディア。そこへガットラーが訪れる。S-1星人の為に自分を殺し、マリンと手を組めと説得されると思っていたアフロディアだったが、逆にマリンを酷評するガットラー。彼はマリンが男として戦える最後の漢だと思っていたのだ。最低の男。そう失望しBFS基地を撃破した後は処刑するつもりでいたのだ。
「マリン、私の信じるマリンであって欲しい。私が、怒りと憎しみの炎を燃やす男であって欲しい……」客人として迎えられるマリンを見てそう願わずにいられないアフロディアのその心情は、信頼や友愛の感情その物であった。
デグラスはマリンの示した座標にBFS基地を見つけ総攻撃を開始する。為す術も無く蹂躙されるBFS。基地が爆発を迎えようとしたその時、バルディプライズとキャタレンジャーが脱出する。が、攻撃を受けると二大メカは反撃もせずに呆気無く爆散した。有頂天になるデグラス。連盟の秘密兵器に負けたと見せかけ、地球人を使って月影の刺客としてマリンを襲う彼の一連の作戦はほぼ計画通りに成功した。報告を受けたガットラーはその功績を認めざる負えない状況だった。しかし腑に落ちない。余りにもあっけなさ過ぎる事に。
世界連盟のモーガン代表は一連の罠にはまった動揺を隠せなかった。今更謝罪するモーガンは月影に打開策を求める。今出来ること、それはマリンを信じる事だと断言する月影。彼は連盟や地球人の誰よりも地球を愛している、月影はモーガンにそう強く言い放つ。そこへクインシュタインからの報告を受ける。建造途中のBFS第二基地が壊滅したと。マリンが既に裏切っているのなら、BFS基地が襲撃されてもおかしくは無い。しかし建造途中の第二基地が襲われたと言う事は即ち、マリンが裏切ってはいない事を示していた。偽りの情報だと敵が分かるのは時間の問題だ。だが敵の所在が不明な以上、月影達にはマリンの安否を祈る事しか出来なかった。
監視付きではあったが客人として迎えられたマリンに新たな刺客が訪れようとしていた。BFS基地が壊滅した以上、彼に利用価値は無い。だがそれ以上にアフロディアはマリンが同じ道を往こうとしている事が許せなかった。未だ処刑命令は出ていない。命令違反を覚悟の上で監視員を銃の麻酔モードで眠らせ、マリンに銃を突きつけるアフロディア。永遠の仇同士。しかし麻酔モードを殺傷モードにするその隙を突いてアフロディアの鳩尾を打つマリン。遂に行動を開始する時が来た。お前と同じ道を歩くつもりは無い、そういい残すマリンの言葉を伏しながら聴いていたアフロディアはどこか満足気であった。
前もって目をつけていた兵器工場の爆破をすばやく敢行するマリン。要塞内の混乱に乗じてマリンはガットラーの喉元に迫る。互いに憎しみをぶつけ合い、マリンがガットラーの心臓に銃の狙いを定めた時、アフロディアが割って入った。殺すなら私から先に殺せ、と。そんな彼女の決死に何故かマリンは引き下がるしかなかった。アフロディアを楯に透明円盤格納庫へと向かい脱出を図る。別れ際、マリンはガットラーと刺し違えるつもりだったと彼女に言う。ある意味、アフロディアが身を挺する事で二人を救ったとも言える。宿敵同士の決着はまた別の機会へと持ち越された。脱出するマリンをデグラスが追い掛けようとするが、その前にガットラーの粛清が飛ぶ。お前は失敗したのだ。終始バラを携えた策士は文字通りその命を散らす事となった。
BFS基地に帰還するマリン。仲間達はその帰りを暖かく迎える。まだ自分はBFSメンバーか?と月影に聞くマリンに、その生が終わるまでBFSメンバーだ、と彼は強く答える。結局、マリンは長官が裏切るなど露ほども思っていなかった。クインシュタインの仲間を信じる、と言う言葉が今回の勝利とマリンをずっと支えていたのだった。

エクシ感想……策士デグラスを演じていたのは何と神谷明さん。いっつも他の番組ではヒーロー役を演じていたこの方がバルディオス世界に来るとたちまち悪役へと大変貌します。バルディオス時空(今命名w)すげー。そういえば井上和彦も悪役だなあ。ガットラーはデグラスを失敗したと粛清しますが、作戦は結構良い所までいってたよ!? ただマリンが一枚上手だったと言うだけで。
でも考えてみると今回の戦いで両軍共に結構な死傷者を出していたり。デグラスはガムジャードにわざと負ける様に兵士に言うわ、マリンは第二BFS基地にいた所員を皆殺しにさせるわでもう大変。新型キャタレンとプライズの第二パイロットの悲痛な叫びが聞こえるよ……(泣)だと言うのに満面の笑顔で帰ってくるマリンとかすごいカオスな感じがします。両軍共に無人の自動操縦だった、と考えると結構精神的に楽なんですけどね。死んだのはガムジャードのパイロットだけって事で、一つ。

そう言った直後に妙な写真を一枚アップ。第二BFS基地が襲撃されて逃げ惑う隊員達ですね。つかどう見てもアルデバロンの兵士にしか見えませんが!?!? バンクで逃げ惑う人々を演出したのかも知れませんが、それにしてもこのセレクションはねーよ、と思う一瞬。無人にしとけばいいのになあ。セル画使う必要無くなるのに。
あ、そう言えばマリンがアルゴルから脱出した時に所在を確かめておけばいいんじゃ?とかもう突っ込んだら負けな処がボロボロ出てきます。これがバルディオス時空って奴か……。といううやむやな感じで今日はここまでっ!
それではまた〜(I_I)ノシ