第28話 決死のランデブー飛行

ここ数日アルデバロンの襲撃にさらされず、マリン達に平穏なひとときが訪れていた。そんな中、BFS基地内でバロック音楽のコンサートが開かれる事をきっかけに、ジェミーはマリンをデートに誘おうとしていた。断られると思っていたが、意外にあっさり承諾するマリン。精一杯のお洒落をしてコンサート会場の入り口に待っていたジェミーだったが、雷太とオリバーを連れてきたマリンを目にして落胆する。確かに二人きりのデートとも言った覚えは無いが、マリンの気遣いの無さにジェミーは用事があると言って逃げる様に去ってしまう。微妙な雰囲気になる三人だが、これはある意味彼女と深い仲にはなれないと言う、マリンの遠回しな断り方だったのだ。
そんな二人を見かねて月影とクインシュタインはジェミーに特別な任務を与える。レイジ島の孤児院から民間人を移送すると言う任務である。レイジ島地下には世界連盟軍のエネルギータンクが存在し、敵との交戦で第一、第二タンクを使い切った地球側はこのレイジ島に秘匿された第三タンクに手をつけなければならない状況だった。今まで孤児院を偽装の為に敷設していたが、これからの戦いでレイジ島には連盟軍が行き来する様になる為、敵の最重要攻撃目標になる可能性がある。そうなる前に孤児達を別の場所へ移送する必要があるのだ。この任務はジェミーが指揮を取り、マリンがそれに随行すると言う形になった。しかしコンサート以来、ジェミーはマリンに不可解な対抗意識を剥き出しにしている。月影達はそんな齟齬を見かねて二人だけの任務を与えたのだ。
パルサバーンにて亜空間を通り、レイジ島に到着する二人。孤児院に訪れると、ヒマラー山脈で知り合った少女や戦災で孤児になった子供達と出会う。一刻も早くこの危険な場所から子供達を避難させねばならないと言う状況でも、ジェミーの態度は相変わらずであった。
そんな折、第三タンクからアルデバロンのスパイが逃走する。基地がここにあると言う情報を漏らされる前に射殺する事は出来たが、通信機の一瞬の交信でレイジ島が重要拠点である事をアフロディアに悟られてしまう。敵に知られた事は確実だと判断するマリンだが、ジェミーは急遽孤児達を移送しようとする。今動けばタンクはおろか、人命も危険だとマリンが言っても全く聞こうとしない。指揮を取っているのは自分だと、子供じみたジェミーの態度にマリンの平手が飛んだ。
「勝手にしろ!」
イライラが募っていたと言うのもあるが、マリンは任務の重要性を理解して欲しいが為に強引な行動を取ってしまう。そんな頑ななマリンにあくまでも反抗する為に移送を強行するジェミー。彼女はマリンにとって重要なのは第三タンクだけだと思っていたからだ。夜を待って密かに脱出を開始するジェミーと孤児達。しかしその行動はアルデバロンの鳥型スパイメカに筒抜けだった。連盟所属の輸送船と落ち合い島を離れようとした直後、アルデバロンの透明円盤に拿捕されてしまう。
連盟兵士からジェミー達が脱出を行った事を報告されるマリン。まさか本当に実行するとは彼も思ってはいなかった。そして同時に島への全面攻撃が開始される。偽装された島の防衛施設が円盤を攻撃するが次々と破壊、島の外装が破られ第三タンクが露出する。この時アルデバロンはこの島が最重要目標である事を改めて知る。更に猛攻を仕掛けてくる敵にマリンはBFSに応援を要請し、自らもパルサバーンで果敢に迎撃した。
交戦中、アフロディアから通信を受ける。ジェミーや子供達が惜しければタンクの防衛を止めて島の裏側へ来いと。やはりジェミー達は敵に捕縛されていた。彼女は人質を取ってBFSの救援が来る前にマリンを亡き者にしようとしていたのだ。捕えられたジェミーがマリンは決して来ない、タンクだけが大事なのだとアフロディアに言う。
「お前は同じ隊員でありながら、マリンの心も読めないのか。マリンはお前らを見殺しにする様な男ではない。その様な男では、ない!」
その時、ジェミーは不思議に思った。何故敵であるアフロディアにマリンの事が分るのか。そんなやり取りの最中、マリンは来た。砂浜に降りたち自らの銃をアフロディアに向かって投げ、無抵抗を示すマリン。代わりに必ず孤児達には手を出さないようにと。アフロディアは頷き、マリンはそれを信用した。しかし彼の銃で弟の仇を討とうとするアフロディアの前にあの時救った少女が飛び出した。それを追うような形でジェミーもマリンの前に出る。一瞬躊躇するアフロディアだったが、構わずに銃を撃つ。二人を庇い、銃撃が二人に降りかからない様に飛び退くマリン。しかし銃撃に翻弄され、体勢を崩し倒れこむ。ビームが弾いた砂がマリンの視界を奪った。だが目の見えないマリンは再びアフロディアの前へ出る。自分を撃てと。マリンが死ぬなら自分も死ぬと錯乱するジェミー。
「君は子供達を守る任務があるだろう。この仕事は君が引き受けたんじゃなかったのか!」
そう言って彼女を一喝し、銃の前に立つマリン。覚悟を決めたその瞬間、付近に対人レーザーが舞い降りアルデコマンドを撃ち倒していく。雷太とオリバーの二大メカが到着したのだ。またもや仇を討つチャンスを逃し、アフロディア達は撤退していく。雷太達はマリン達の無事を確認するとそのまま第三タンクへと急行する。マリンも応援に駆けつけようとするが、未だ視界は閉ざされたままだった。雷太とオリバーだけでは敵を撃破出来てもタンクは守りきる事は出来ないのだ。
「あたしがマリンの目になるわ」
ジェミーは先程のマリンの言葉で全ての鬱積が晴れていた。その表情は任務を行うBFSの戦士である。ジェミーは自動操縦でパルサバーンに乗った事はあるが、自分で操縦した事は無い。マリンと共に搭乗し、彼の指示でパルサバーンを動かす。バルディオスチャージアップ。二人の言葉で三大メカが合体し、二人の意思でバルディオスが獅子奮迅の動きを見せる。ベストリンガー、そしてパルサーベルドリンキング。剣を連結し回転させ、透明円盤の群れに突っ込んでいくと、敵は勝ち目無しと判断し、次々と消えていった。第三タンクは軽微の損傷はあれど、ほぼ無事であった。この一件以降、ジェミーは任務に私情を挟む事は無くなった。マリンへの想いも全て心の内に秘め、ジェミーは一つ大人になる事が出来たのである。

エクシ感想……やっと出来た……足掛け二日、いや三日。なんて言うかもう、ジェミーって言う単語も言葉も書くのも嫌。何を考えて行動するんだろうこの女、って感じです。何しろ二回連続のジェミー回だったので、指が拒否反応を起こしかけてたわ。これ以降はジェミー回が無いので正直すごく安心であります。しかしこのサブタイ、ジェミーの操縦は怖いと言う意味でしょうか(笑)確かに決死だよね。
難しい難しい言われているパルサバーンやバルディオスの操縦。でも亜空間飛行しなければそれ程難しくは無いのかも知れません。パワーアップ以降、マリンのサイコエネルギーと言うか脳波探知で操縦する事が出来る様になっているので、下手したら雷太やオリバーでも乗れるのではと思ったり。試していないだけで。だってジェミーが乗っても敵を撃墜出来るんだもん。きっとデビットが乗っても大丈夫に違いない。
次回はそのデビットが主人公のお話。また女性キャラのモノローグが楽しめます(笑)と言う感じで今日はここまで。
それではまた〜(L_L)ノシ