クインシュタインファイルズ(eyes only)

バルディオス開発計画>
私はエラ・クインシュタイン。世界連盟から派遣され、BFSの科学開発局長に任じられている。
この記録には、パルサバーン、バルディプライズ、キャタレンジャーの三大マシンに付いての注意点や特筆点を記している。仮定として私の身に不測な事態が起こった場合、プロテクトは解除されこの記録は閲覧可能になる。一般人にも理解出来るように記録するので、専門用語等は出来るだけ使用せずに記す。今後の開発等の参考に役立てて欲しい。
先日、マリアナ海溝にて敵との交戦に際し、異星人マリンは三大マシンを合体させスーパーロボットバルディオスを誕生させる。飛行試験等も行わない危険な行為ではあったが、無事に合体機構が作動、短時間なれど亜空間の飛行を達成させた。全ての事が奇跡的に成功した事に私は安堵すると共に、侵略者同様異星人でありながら勇気ある行動を示したマリン・レイガンに敬意を表したい。
亜空間力学と言う原理は、私がネルドと共に研究していた頃からの研究課題である。俗に言われている亜空間航行とは通常三次元から別次元へと移り、通常空間で受ける障害を完全に無効化させる事が出来る。現実世界で瞬間的に消失する、などと言うSF的な行為を見事にこの力学は可能にしてしまう。理論上は可能である事は研究時代に知識として理解はしていたが、それは机上の空論レベルとも言えた。簡単に言えば、対象物を爆発的なエネルギーで通常空間から別空間へと弾き飛ばす行為である。そのエネルギーは例えて言うなら、このBFS基地の核融合炉を数百個駆使したとしても実現は難しいと言われている。実際にその様な有りえない実験を世界レベルで出来るはずも無く、行ったとしても現段階では対象物がどこに向かったのかも確認する術がない、では意味が無かった。
しかしそれを可能にする物質が現れた。アルデタイトと言う有史以来、未知の物質である。この物質は幾重の次元にも同時に存在する性質を持っており、物質の位相を変える事で、いとも簡単に亜空間への跳躍をこなしてしまう。それをエンジン内で制御し、戦闘機として成立させたのがパルサバーンであり、敵軍の機動マシンである。
現時点で地球側において対象物、つまりバルディオスを亜空間に突入させる事が出来るのはマリン・レイガンただ一人である。亜空間力学に精通し、突入のタイミングを身体で感じながら測り、行う。S−1星で日常的に亜空間を跳んでいた彼にしか不可能な技術である。もし同搭乗員のジャック・オリバー、北斗雷太に操作させた場合、亜空間突入のタイミングを逸し、別次元に間違って跳躍し、永遠に彷徨うことになるだろう。現代においてアルデタイトの確認は未だ成されていない。仮定として発見された場合、敵よりも早く保護する事は最優先事項であると言える。
以上の事柄がマリン・レイガンの所有するパルサバーンから確認する事が出来た。敵軍の技術テクノロジーは我々とそう大差ないと言う事も確認できた訳だが、未知の物質アルデタイトがその差を歴然とさせる。私はその差をイーブンにする為に最新鋭の二大メカの攻撃力と、パルサバーンの技術テクノロジーを合致させバルディオスを完成させる事を考案したのだ。
キャタレンジャーとバルディプライズにはパワーアップの懸案が以前からあった。二大マシンを両足へと構成させ、新技術で構築された戦闘機をボディと見立てる事でその計画は完了する。しかし実際にその計画を行うに当たって、現在の二大メカを大幅に上回る性能を持った機動兵器の製造が難航していた。そんな時、突如として未知なる敵の攻撃を受け、更に新技術の塊とも言うべきパルサバーンが私の目の前で巨大な体躯を横たえている。これは天恵なのか、と改修を行いながら非科学的な事を思案した程である。
マリンの乗っていたパルサバーンは調べれば調べるほど理解に苦しむ部分があった。全長50メートルの巨大な戦闘用機動マシン。しかし戦闘用だと思われていた機体には然程大した武装は積まれていなかった。前部にある大口径のレーザー砲が二門、たったそれだけの武装しかないのだ。それに意図不明なデッドスペースが数多く存在する事も理解を困難にしている。亜空間エンジン内のアルデタイトの余剰出力を兵器転用した場合、現武装を遥かに越えた戦闘力を持つ事は今現在の科学力でも明白である。私はマリンの話した事情から、この機体は本来戦闘用ではない、別の用途を持ったマシンだと言う結論に至った。例えて言うならそれは、放射能除去マシンである。
マリンの故郷である惑星、S−1星では長い放射能汚染により地下への居住を強いられていた。地表での放射能除去が成功すればS−1星人が気密防護服無しで大地を踏みしめる事が可能になる。マリンの父であるレイガン博士は青い空と海、それに太陽の光を浴びる事を夢見ていたと言う。半生をその技術構築に費やし、念願の実験が成功した時にクーデターが起こり、放射能濾過循環システムは永遠に失われた。つまりこのパルサバーンと言う機体は恐らく、そのシステムを搭載し故郷の星を浄化させる目的を持った機体だと思わずにはいられない。
平和への願いを込めて作られたパルサバーンが、今戦闘用のマシンとして再構成される。私にしても常々平和への技術を模索していた技術者である。しかし現実に侵略は行われ、防衛の為の兵器を構築しなければならない。何と皮肉な事であろうか。
デッドスペースに変形機構を搭載し、それに応じた武装を施す。コクピットも改修し、強力な武装を一人でも三人でも使用する事を可能にさせた。その途上、壁面にあるグローブボックスと思われる部位から幼いマリンとレイガン博士と思われる写真を見つける。まるで巧妙に隠されている様であった。マリン本人はそれに気付いていないのかも知れないので、後で伝える事にする。改修の際用途不明のスイッチが多々あるが、出来るだけ現状を維持する為廃さなかった。
武装としては以下に記載する。
ショルダーキャノン…肩部装甲シャッターに収納された大口径実弾砲。
腹部多用途ミサイル…様々な用途に応じて装備されたミサイルラック。
バルディミサイル……両足脛部に搭載されたミサイルランチャー。二大マシンの主武装でもある。
バルディカッター……両足脛前部に装備されたカッター型の刃を射出する武装。目標を「蹴る」事でも威力を発揮する。
パルサーベル………エネルギーの消費を抑える為の近接兵装。胸部シンボルマーク下部に装備されている。基本材質はパルサバーンと同じハイバナジウム‐ニッケル鋼で構成され、驚異的な破壊力を誇る。
バルディクラスター…左腰部に搭載された菱形状の分銅が付いたチェーン型武装。主に敵を拘束する兵装である。
亜空間ビーム…………額部クリスタルから照射されるバルディオスのエネルギー兵装。エネルギーの消費が激しい為、多用は出来ないが、亜空間・現空間を問わず敵にダメージを与えられる。
サンダーフラッシュ…胸部シンボルから発射されるプラズマ兵器。亜空間ビームより威力は劣るが、エネルギーの消費は前者よりも抑える事が可能となった。
現状では上記を全て使用することは出来ないが、最終調整を終えた後には全ての武装の使用が可能となる。防御面としては、戦闘中機体表面に不可視のバリアを発生させる事が出来る為、多少の攻撃にも怯む事は無い。但し、強力な兵装を使用する時はバリア出力が弱まる事があるので注意が必要である。(2100年7月31日 記) 
バルディオス強化プラン>
 遂にバルディオスの戦闘力を上回る敵が現れる事になった。辛うじて帰還したバルディオスの損傷を修復するのは短期間で行える。しかし同じ結果に陥るのなら意味が無い。私は以前から考えていた強化案を機体に施す事を月影長官に許可を求めた。改修、調整を行うのに約一ヶ月の期間を要するが、機体の性能は飛躍的に上がるだろう。特筆すべき点は脳波探査装置を応用したサイコエネルギー感応装置と様々な追加武装である。今まで操縦と兵装の使用を同時に行っていたマリンだが、精神波感応装置をコクピット内に設置する事により、難しい操縦が要求される亜空間突入時であっても兵装の使用が可能となった。操縦者の負担を軽減する事自体が機体の性能を向上させる結果に繋がる、これは人間の戦いの歴史からも証明されている。
追加武装は以下の通りである。
ベストリンガー……機体表面に発生させているバリアを高出力で放出、球形バリアを形成し敵に突貫する中央突破武装
3Dバルディ………連続で亜空間に突入し、位相を変える事で実体のある分身を発生させる撹乱兵装。
パルサーベル・ドリンキング……二本のパルサーベルを連結させ槍状に、防御に、二刀流にと変幻自在の攻撃が可能。
亜空間シャワー……対象物を破壊する事無く拘束・牽引するトラクタービーム。額部から照射される。
 尚、この他にも追加兵装が存在するが、現在の状況では上記の四つ以外は未開発中。技術者の人員不足が原因でもある。ここに来て連盟から派遣されたアラン技術者が冷凍冬眠刑に処された事が悔やまれる事態である。
最終追加武装は以下の通り。
バルディガード……表面に強力なバリアを放出する追加防御盾。個別にエネルギーを有する為、使い捨ての兵装。
ビームボウガン……亜空間ビームを10秒間照射する事が出来る追加武装。ガードと同じく使い捨て兵装である。
バルディロイザー…バルディオスの最終決戦兵装。第一段階でベストリンガーを上回る高エネルギーを機体から放出、敵巨大戦艦等の内部へと突入。第二段階としてバルディオス本体を三大マシンに分離させ、敵の内側からエネルギーを纏ったまま脱出すると言う絶対破壊兵装。
バルディロイザーは対亜空間要塞戦における切り札であるが、万全の状態で使用した場合でもバルディオスが機能不全に陥る可能性がある。機体に損傷がある場合は絶対に使用してはならない事に留意したい。(2100年12月18日 記)
如何だったでしょうか。クインシュタインの手記と言う感じで書きました。最初これを書くにあたって一番書きたかった事が、
亜空間突入は何故マリンにしか出来ないの?
パルサバーンは何の目的で製造されたの?
亜空間力学ってどんな技術?
体当たりだけで透明円盤潰しちゃうバルディオスって……
サイコエネルギーで動くとか言われてもなぁ……?
と言う事。殆どエクシのデタラメオリジナル設定ですが(笑)だって亜空間力学なんて知らないもん! 粒子加速器とか重力を圧縮して云々とか色々あるけど、その為には莫大なエネルギーが必要、程度にしておきました。因みに亜空間力学はマリン達が2100年に来る以前から研究はされていました。だってデビットとかずっとその力学を勉強してたって言うし。しかしデビットにしてもマリンにしても学者って感じじゃないですよねーと言う感じで今日はここまで〜。
それではまた〜(?_?)ノシ