大河原さんを思ったこと

トッキューザウルスっぽい?

今回美術展に行って図録を買ってみて、改めて思った事はやはり大河原先生のメカが一番好きだと言う事。
図録の一番最初のページに書いてある事。曰く、
「現実に、形にしようと思えばできるメカデザインしか、しない」
と言う事だ。現実に形にする、それは模型や玩具ではなく、実際に実物大の大きさとしてのモノ、1/1へのこだわり。
それの最たるモノがボトムズだと言う事になる。


そして最近になって倉田氏が1/1でのスコープドッグを製作、それを目の当たりにした大河原先生は「あ〜こんな大きさかぁ、俺の設計はあっていたな」と感慨深く言っていたそうな。当の倉田氏は膝にあるロールバーや、右腿を覆う装甲板に足を乗せられる穴が、搭乗時に使うと言う事すら知らなかったらしい。

徹底的なリアリズム。自分もボトムズのプラモを何個か組んだ時、膝のロールバーと腿の装甲板の穴は何だろう。ああ、なるほど、これは搭乗する時の為のモノなんだな、と気付いたのがもう何十年前の事だろうか。
例えて言うとガンダム等は人間とメカの大きさのサイズが曖昧になったりする時もある。何せちょっとしたビルサイズだもんね。そう考えるとボトムズのサイズが一番分かり易く、これほど人間とロボの戦いが描き易い作品は無いだろう。槍付きのライフルでロボを倒していく作品も外伝であるしね。
ボトムズと言う作品のココが良いとするなら、自分がいつも思うのは人間との対比がはっきりしている事、人間がどう動いて搭乗するか、この腹部のハッチは何の為に必要なのか等、想像と言うよりシミュレートに近い感覚を掻き立てさせる事がいつでも可能だからだと思う。
リアルに考えれば、ガンダムサイズのロボットを整備するとしたら何十人必要になるんだか(笑)一人で整備するの絶対無理無理無理。



さて、ここで考えてみるんだけど、倉田氏の作品をみた大河原先生の感覚はどのようなモノだっただろうか。
正直な話をすると「自分が描いてきたモノに間違いは無かった」と言う事の他に「クリエイターとして負けたくない」と言う感覚があったのかも知れない。そう、「ああ、やられた!」って感覚があったんじゃないかと思うのだ。
近年になってガンダムの1/1作品がバンダイサンライズから提示された。全高18mの大きさを誇るガンダムが、無可動と言えど再現される事が成った。しかし、このガンダム1/1に関しては大河原先生は関わっていないと言える。デザインはカトキさんだしね。
自分も負けてはいられない、と言う感覚。ガンダムエース等でイラストを描く事も多いが、最近になって絵での二次元から三次元への造形化へのこだわりを見せている。大河原工房とも言えるそこから生まれるモノは、無骨な機関銃を模したデスクライトと言う日用品や、ザクの頭部を模したUSBメモリ等、創作意欲溢れた作品が多く作られている。ひょっとしたら、倉田氏に負けない程の作品を今後見せてくれるかも知れない。

クリエイターとして負けたくない。そんな思いが、今回のfor1/1にこめられている、そんな気がするのだ。

そして倉田氏のページに久しぶりに行ってみたら……カストロール一号って何してんの倉田さん!(笑)
http://getnews.jp/archives/45379

車がトランスフォームしてサッカーマシンになるとか……正直用途は不明だけど車が変形するギミックは素直にスゲーと思う。これをもう少し進化させれば劇パト2に出てきた四本足で渋滞している車の上を通過する「99式装輪レイバーロードランナー」が出来そうな気がする。


自分も負けない気持ちでなんか作らなきゃね、と思えてきた。