漫画部門 重機甲兵ゼノン(神崎将臣作、少年ビッグコミックス昭和60年連載)


のっけからキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
やっぱりサイボーグで漫画と(私的に)言えばゼノンだよな。サイボーグじいちゃんGは却下します。悲哀なんてかけらも無いじゃんアレ(笑)何かデスノート(同じ作者です)で有名になりつつあるし。
因みに、今回のコラムはマイナー漫画シリーズ第三弾を兼ねさせていただきます(笑)


高校生の叶飛鳥は軍事兵器開発組織「赤い海」に誘拐され、プロジェクトXの被験者にされてしまう。その計画は脳と心臓以外全て機械で構成されるサイボーグ改造手術のことであった。改造を施された飛鳥は、脳手術と頭部の装甲強化を施される前に「赤い海」を脱走。旅客機のコンテナに忍び込むが、旅客機ごと撃墜されてしまう。海の藻屑になるかと思われた飛鳥だったが、何とか陸地にたどり着き浮浪者のように街を彷徨する。頭部の装甲強化を行われていなかったため、墜落のショックで一時的な記憶喪失に陥っていたのだ。
「俺は誰だ?この身体の線は一体何だ!俺は人間か!?」
そして、在学中によくトラブルを起こしていた不良応援団の団長、郷田に付けねらわれるが、その従兄弟である(この作品のヒロイン)新田園子に助けられる。案内された飛鳥は園子の祖父、新田兵衛門と出会い、記憶喪失の回復をするべく飛鳥の自宅へ向かうのだった。飛鳥の母は健在だったが、すでに「赤い海」が手を回し幹部のトオノと以前襲い掛かってきたサイボーグ204号が飛鳥の母を人質にしていた。飛鳥に関わったため、団員を皆殺しにされた郷田や兵衛門の乱入もあって、母を助けようとする飛鳥。しかし204号、ジェイスンの凶悪な腕が母の胸板を貫通する。目の前で母を殺された飛鳥は全てを思い出し、自らの意思で身体の形を変えていく。ゼノンシステムが発動したのだ。
新型記憶合金「ゼノニクスK30」で覆われたその身体は、発動者の意思によって自由に硬度を変え、パワーは常人の300倍。肩と背部のブースターによって行動スピードをサポートされ、30M程のブーストジャンプが可能。一体で都市を制圧する事が出来る重機甲兵(バイオダイバー)、それがゼノンなのだ。
しかし、飛鳥の段階ではまだ完成ではなかった。顔を覆う装甲がないのだ。トオノにそれを指摘され、ジェイスンに頭部を攻撃されるゼノン。住宅街の真ん中で行われる脅威的な戦闘。トオノは人目に付く事を恐れ、この場を目撃した住民達を軍用ヘリの対戦車ミサイルで一掃する。暗転する飛鳥。
何とか郷田に助けられ、新田邸にて治療(修理)を施される飛鳥。郷田は事情の説明を求める。実は兵衛門はかつて家族を人質にとられ、仕方なく「赤い海」に従事していた事があったのだ。それもプロジェクトXを考案したのは彼だった。それを聞いた飛鳥は兵衛門を殺そうとするが、彼は飛鳥に共闘を求める。自分も妻を殺され「赤い海」への報復を考えていたのだと。激情を壁に叩きつける飛鳥。
「だから勝手だってんだ、大人はよ!!」
その頃、放課後で友人のリサと話していた園子はジェイスンの強襲を受けていた。発信機を兼ねたショック弾をジェイスンに打ち込むが、サイボーグ体であるジェイスンには効かない。そこへ駆けつける飛鳥。兵衛門が用意した弱点むき出しの頭部を補うヘルメットを装着し、ジェイスンを追い詰める。隙を突いてバックを取るジェイスンであったが、自身の身体の限界と、郷田の助けもあって辛くも飛鳥はサイボーグ204号を撃破する。首だけになったジェイスン。「俺はお前だ。愛する人にはその身体を見せるな」と言い残し事切れる。
「俺はコイツとは違う。コイツは機械に自分を売った負け犬だ!」
そう言って「赤い海」にこの悪魔のような身体の恐ろしさを思い知らせるのだと誓う。叶飛鳥の戦いは始まったばかりだった。


と言う訳で、こりゃ仮面ライダーですな(笑)顔だけヘルメットかぶるところなんて原作の仮面ライダー一号とクリソツ。まあ、本人が熱烈な石森ファンだったから仕方ないんですが。
しかし、ビッグコミックスで連載されていましたこの作品、その雑誌が休刊されると同時に打ち切り(またかよ!)になってしまいました。休刊とはこの場合言わないかも知れません。だって誌名がヤングサンデーに変わっただけなんだもん。その際執筆陣を大幅に変えられ、ちょっとHな青年誌として購入層を広げていきました。しかし、神崎氏のこの漫画の続編は続けられる事はありませんでした。理由はハード過ぎる物語展開に他なりません。だってこれから軟派なお色気漫画ばっかりの雑誌に驚異のサイボーグ、ゼノン!!とかいっても誰が見てくれるのでしょうか。まあ軟派な世界に咲く一輪の硬派、というのも悪くはないと思いますが、小学館の編集部は彼を完全に切ってしまいました。結構前から描いてたのにね。
それから神崎氏は白泉社(少女漫画も描いてたらしいぜ?)で短期の連載を何本か描き、徳間書店に移って「KAZE」というタイムスリップ忍者漫画を描き始めます。これは中々読み応えがある作品でしたが、連載していた雑誌キャプテンが廃刊になってしまったため、最終決戦直前辺りで打ち切りになってしまいましたよ。つくづく雑誌に恵まれない人だと思いましたね。しかし2004年辺りに、少々というか大分絵柄が変わってしまいましたが、残りの最終決戦を加筆した豪華本にてこの物語は完結致しました。私的にとても嬉しかった。
角川作品でも打ち切りの憂き目に合いました。「SHOGUN COP」です。海外などには受けがよかった魔物を狩る退魔物で、全二巻でした。パワーアップしてこれからもっと強くなるというところで打ち切りを宣言されたらしく作者はむかついたのか、主人公は力を制御出来ずに暗黒神へと変わってしまうというシナリオに変えてしまったようです。愛する者を味方に殺され(主人公が破壊神になってしまったから)逆上した主人公は世界の運命を歓楽街にいる頭の悪そうな不良に委ねます。地球は一瞬にして滅亡し、世界は少しだけ優しくなったそうです(爆笑)
ここら辺から神崎氏は自分の漫画が読まれなくなる前に、大幅な路線変更をすることにします。パンチラです。ええ、パンチラですとも(笑)アッパーズ連載の「鋼」という漫画です。主人公は剣豪宮本武蔵のDNAを移植された女子高生。短いスカートでパンチラの無い回は無かったんじゃないかと思われるほどです。で、実はこの物語も「重機甲兵ゼノン」の宿敵「赤い海」が登場し、トオノまで登場する。実質的には「赤い海」シリーズの完結編と言えるでしょう。登場人物に眼帯を付けたキャラがいますが、多分飛鳥に協力していた郷田だと思われます。
そしてそのあおりで、重機甲兵ゼノンの再販が講談社にて行われました。最終巻ではダイジェスト風でしたが一応ゼノンと「赤い海」の闘争は終了しています。スゲー分かりにくいけど(笑)
後に「ブルーバック」という漫画を描き始めますが、これも二巻で打ち切り。ハード路線に変更したからですかね。今現在は秋田書店の青年誌ヤングチャンピオンにて「イカせて!!バンビーナ」というお色気物を描いています。
多分、本人は納得していないと思っています。でもこうでもしないと食っていけないと思ったんでしょうか。もっとハードな、主人公が葛藤に悶え苦しむような作品を描きたい。サイボーグという神崎氏にとってとても重要な題材の作品は、重苦しくはありましたが読み応えがある物でした。もう、戻れない。なら進むしかない。ある意味追い詰められていく主人公という作風が神崎氏の売りでしたが、それが自身の首を絞める結果にいつもなっていた為、未完の帝王とまで言われてしまいました。最近になって「鋼」を読んでみましたが、表面的にはパンチラばっかな軟派な漫画でしたが、先程の「なら進むしかない」という意味も兼ね備えた作品であると感じます。それは主人公の事なのか、それとも神崎氏本人の事なのか。
エクシードチャージはハードな神崎氏を応援します。

余談。
イカせて!!バンビーナ」を読んでみましたが、結構面白い。縁結びの神様と同居することになった主人公は、邪な色欲を想像すると、罰としてタライが落ちてくる(笑)で、一人でアレが出来なくて悶々するが、今回の連載分で命がけでアレをしておりました。連続で落っこってくるの、タライが(爆笑)まあこんな神崎氏もいいかなあと思ってしまいましたよ。
エクシードチャージは軟派な神崎氏も応援します(笑)