アニメコラム 蒼き流星SPTレイズナー(1985.10〜1986.6)概要

レイズナーガンダム同様打ち切りSFロボットアニメ。当時スポンサーをしていた三洋電機がファンヒーターで一酸化炭素中毒事故を起こし、完走出来なかった。四クールで終わるはずが三クールの後半、38話という中途半端な話数で最終回がその前話と話が全く繋がらないことから視聴者に混乱を与える。後一話あれば、未完成ながら何とか終われた、みたいな物になっていたかもしれない。その部分はOVA等で再現されたからまだましと言れる物かも知れないが。
打ち切りのもう一つの、というか大部分の理由は三洋電機ではない。実はバンダイが出したプラモデルが売り上げ不振に陥っていたのだ。アニメとも、設定画ともかけ離れた造型や、主役機であるレイズナーが手を加えない(改造しない限り)限り全く見れた物ではなかった。視聴率自体はそんなに悪くない。当時で10%前後と言うのはかなり見られていた方だろう。そんな作品が何故か打ち切りの憂き目に合ったのは、様々な理由(ファミコンの発売とかね)があったと思われるが、その責任の殆どはバンダイにあったのだと思われる。何故か、終盤に発売されたレイズナーと兄弟機の「バルディ」というプラモデルは滅茶苦茶出来が良かったが。
視聴率がそれほど悪くは無かったのは、日本テレビ系だからだというのもあるが、裏番組で「夕やけニャンニャン」(1985.4〜1987.8)が放映されていると言う逆風で、10%というこの視聴率にはやはり物語の魅力が高かったからであると思われる。同年では機動戦士Zガンダム(1985.3〜1986.2)も放映されていて、バンダイは正直ガンダムの方が売れるから、レイズナーの方は手を抜いたとまで言われる始末だ。実際そうだったかもしれないが。
考えてみればこの時間帯はかなり鬼だ。テレビ朝日ではZガンダム、フジテレビでは怪物番組夕やけニャンニャン、そして日本テレビ系列ではレイズナー(1985.10〜1986.6)。二重撮りが出来るDVDレコーダーでも無ければ全部見る事は出来なかっただろう。当時はようやくビデオデッキが普及し始めた時代だし。なるほど、Zガンダムの後半から終盤を全く見ていなかったのはこういうことか。富野よりも高橋作品の方が好きだしね。
この作品は私の大好きな高橋良輔大先生のリアルロボットアニメシリーズの四作目。ダグラムボトムズガリアン・そしてレイズナーと次々に発表されたロボットアニメは私の心にずっと残っている。ダグラムからガリアンまではタカラスポンサーで、その造型には目を見張る物があった。ボトムズは未だに再販され続けている状況だ。しかし、レイズナーだけはバンダイスポンサーになり、何故今までタカラから出され続けていた模型がバンダイに移行したのか未だに謎だったりする。これは推測だが、レイズナーの前番組と言うわけでは無いが、高橋監督によるシリーズ作品としては前作はガリアンになる。このガリアンはレイズナーと同じく日本テレビ系列で放映されたが、やはりタカラの売り上げ不振により打ち切りではないにせよ、放映期間が短縮される状態(全25話)に陥った。そのこともあってか、サンライズの上層で次の企画を打ち出す際にタカラではなく、バンダイスポンサーでやるという事を決定してしまったのだと思われる。当時ガリアンと同じくして放映されていたエルガイム(こちらは富野作品)はバンダイ資本の作品で、ガリアン程視聴率が低迷していた訳ではないがそこそこ話題性のあった作品ではあっただろう。しかし、後番組にガンダムシリーズを推しださなければサンライズは持たないとも言われているので、リアルロボット時代の黄昏がサンライズバンダイ、そしてタカラに落ち始めていたといっても過言ではない。
ガリアン以降からタカラは接着剤を利用したプラモデルを完全に生産する事が無くなり「魔神英雄伝ワタル」からはプラクションと呼ばれる子供でも気軽に作れる物が主流になっていく。タカラにしても、バンダイにしても何にしても、物を売ると言う事が難しい時代になっていたのだと痛感せざるをえない。そこに物が売っていたとしても、その商品の詳細を知らなければ(番組を見ていなければ)買わない。商品の出来が悪くても買ってもらえない。商品が売れなければ番組が続けられない。こんな悪環境の日本でどうしてジャパニメーションと言う物が進化していったのか。いや、このような逆境が日本のアニメーションを鍛えていったのかもしれない。


さて、兎に角バンダイZガンダムで手一杯になった為か、レイズナーの出来はかなり悪かった。レイズナーのデザインにも問題があったとも思える。ガンダムが帽子を被っただけとか、カラーリングがドラえもんだとか散々な言われようだ。しかし、高橋監督の作品の良い部分がよく出ている作品でもある。高橋作品の良い部分とは<ロボットと人との縮尺をしっかりさせる>ということと、<ロボット設定が緻密>だということ。やられていく敵メカのクラッシュ表現が秀逸とも言える。メカの描写がとても丁寧に作られているので、そういう意味で好感が持てるのだ。サイズ自体もガンダム程大きくない為、人間との対比が分かりやすい。ガンダム作品辺りになるとどうもそこら辺がおろそかになってしまうのは気のせいでは無いと思う。ガンダムくらい巨大になると、モビルスーツがいる所に人間がいたらただじゃ済まないから、なんだろうけどさ。
物語も書くつもりがこんな評論じみた文に。乱雑な文だなあ。今度はプラモレビューしながらストーリーも書いていくよ。
それではまた〜。